ハナさん、こんにちは。

今から十年も前に、同性愛者の男の子に恋をした者です。
彼の秘密を知ったハナさんの混乱した気持ち、痛いほどわかります。


私の場合も、彼とはとっても仲良くて、親友と呼べる間柄だったと思います。

親密になるにつれて、両想い間違いないな～と私が浮かれていた矢先、
彼の古い知り合いである人たちが、「ホモ」である彼の噂話をしているのを聞き、
ショックでふらふらになりながら家に帰ったのを覚えています。

その後ひょんな経緯で、彼に私の気持ちを知られ（勘づいてなかったみたいです）、
同時に、彼の秘密を知ってしまったこともバレて、本人から「事実だ」と云われました。

それでも彼は私には大事な友達だったし、これからも仲良くしてほしいと伝えて、
私の気持ちを知った彼は、私を傷つけるんじゃないかと悩んだようでしたが、
結局、その後一年半近く、親密な交流がつづきました。
周りの人たちは、ほぼみんな、私たちを恋人同士と思い込んでました。

彼は本当に、親友として私を好いてくれていたみたいです。

困ったことがあれば必ず助けてくれたし、愚痴や相談もしあったし、
一緒に泊まりがけで遊びに行ったこともあります。
好きだ、大事な人だと何度も云われました。
腕も組んだしハグもしました。

でも、どんなに私が心を込めて抱きしめても、彼の反応は女友達と一緒。

「彼は大事な友達なんだから。恋してる以上に大切なんだから」と、
ずっと自分に言い聞かせていたけれど、虚しい気持ちは消すことが出来ませんでした。
私があの頃、もう少し大人だったら、そのまま仲良くしていられたかもしれません。

ちょうど、他にもいろいろな出来事が重なって、私は自殺未遂しました。
その時、様子のおかしい私にずっと付き添いつづけて、助けてくれたのも彼。

わけあって引っ越しし、会うこともなくなり、自然と疎遠になりました。

思い出として彼のことを懐かしめるようになったのは、数年後だったかな？
それまではどうしても、運命を呪いたくなったり、自分を責めたりしてました。
やっと、わかりあえて信頼できて、大好きな人ができたのに、叶わなかったんだろうって。

だけど振り返ると、彼の、あの頃注いでくれていた深い友愛が優しく心にしみます。

仮に、普通の恋人があの時いたとして、彼と同じように、
面倒くさい私を見捨てずに、助けられたのかな？とも考えちゃうんです。

彼とはいまだに、たまーに会ったり、近況の便りをしあう間柄です。

きっと、私と彼の間は、他にどうしようもなかったんだと思います。
でも、少なくとも私にとっては、人生でかけがえのないものに違いなかったから、
出逢ったこと、恋をして苦しんだこと、一緒に笑ったこと、後悔してません。


なんだか自分のことばかりダラダラ書いてしまいましたが、
どうするのがいい、悪いというより、ハナさんが、いちばんハナさんらしく、
自分自身を貫いていくのが、もっとも後悔しないのではないかと思うし、
きっと、ハナさんが彼と出会ったことだって、恋愛として成就する以外に、
きれいで実りがある、何かかけがえのない贈り物があるんじゃないかな。