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気弱君さまへ (悠より) |
- IP: 58.0.138.221
- 「うち、気弱君のこと、好きだよ」
この言葉を言いたいのに、臆病になって、怖くなって、違う言葉にすり替わる。
「うちの好きな人のイニシャルはね……」 「うちの好きな人の出席番号はね……」
遠回しな言い方。 伝わっているのか、分からない言い方。
でも、きっと伝わってたから、君はうちを避けるようになったんだよね。
話しかけても、無視されて、逃げられて。 うち、すごく悲しくて、傷ついたんだよ?
でも、やっぱり君は優しいね。
避けるのをやめてくれた。 冗談をいってくれる。 うちの前で、楽しそうに笑ってくれる。
でもね。
あの子と君が話してるのを見てると、胸が苦しくなった。
だって、君は、うちと話してるより、ずっと、ずっと楽しそうだから。
あの子が、君のことを好きでも。 君が、あの子のことを好きでも。 どっちも、あり得るような気がしてきた。
やっぱり、一回話さなくなったうちと、毎日話してるあの子と、差ができたのかな? 君は、あの子の方を、見るようになっちゃったのかな。
そう思うと、悲しくて、ちょっと寂しいな。
君と付き合えたらーって、何回も考えた。 一緒に帰りたいな。 君の方から、話しかけてほしいな。
ありえない、って思うけど、やっぱりどっかでそうなってほしい、って思って。
うち、ネガティブだから、良い想像をしても、現実にはならないって考えちゃうから。 悪い想像は、きっとこうなるって思うのにね。 でも、ポジティブに考えようって、初めて、そう思った。 だったらいいな、じゃなくて、きっとそうなる。 こう言おうかな、じゃなくて、こう言う。
ポジティブになることで、上手くいく、って思ってるわけじゃないけど、運をこっちにたぐり寄せるみたいに、そうできればな。
「気弱君、好きな人いる?」 こう聞いて、もし君が「いる」って答えたら、まずあの子かどうか聞く。
お願い、違って。
そう思いながら聞く。 そして、違ったら、違うのだったら、うち、度胸もないから、一通り、クラスの女子の名前挙げようかな。 もし、全員違ったら、別のクラスの人を言う前に、最後の最後に
「ねぇ、うちのこと、好き?」
って聞くよ。
でも、もしかしたら聞けないかもしれない。 君が、クラスの女子の誰かのことを、「うん、そいつ」って言うかもしれない。 怖いよ。 怖いけど、聞かないと。 終われない。
心の中で、ガンガン、頑張れうち!って思ってる。 タイミングがなくなったらおしまい、ってことは、身に沁みて分かってる。
過去に足を引っぱられやすいってことは、知ってるよ。 だから、今まで動けなかった。 全部、崩れちゃいそうで、何もできなかった。
大丈夫、大丈夫。いつでも言える。まだ機会はたくさんある。
そう思って、何回後悔したか。 いつでも、なんてなくて。 機会は、その瞬間だけで。 一秒でも、もったいない。
それに気づくのに、どれだけかかったか。
これで、最後。
そう思おうって決めた。 勇気が、出なくならないように。 一言目が、言えるように。
話を聞かないのは、なしだよ? 最後になるかもしれないんだから。 ちゃんと聞いてよね?気弱君。
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