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ちょっと背が低いあなたさまへ (ちょっと背が高い私より) |
- IP: 58.85.61.45
- ねぇ。あなたは覚えていないでしょう。
初めて会った時。私たちはまだ一桁の年だった。
二人を繋ぐのは音楽だけ。
でもそれでよかった。
一緒に弾いて、一緒に笑って。
それができただけでよかった。
親から聞いたあなたの言葉。
「将来お嫁さんにもらっていいですか?」
―まだ幼かった私たちの、幼い約束。
時が流れて、あなたは大きくなった。
久しぶりに会って話すと、あなたは色んな話をした。
学校、友達、先生、習い事のこと・・・。
でも一番多かったのは、恋愛について。
六人にも告白されたって、どこか照れくさそうに話すのを見ると、すごく苦しかった。
二歳差がもどかしい。
同い年だったら傍に立ててたのかもしれないのに。
でもね、全部断ったって聞くと安心する私は最低の鬼畜生だと思う。
そして今でもあなたのことが好きな人に言いたい。
「その人ね、私にプロポーズしてくれたんだよ?」
あなたが付き合うかどうか考えてる人がいるって聞いて、「ちゃんと考えてあげなよ?」 って言ったけど。
本当はこう言いたい。
「私じゃだめなんだね」
こうやって隣を歩いているのに。
小さい時から知ってるのに。
二歳差で、住む場所がちょっと遠くて。
それだけで私は見えなくなるんだね。
寂しいよ。
歩いている間に何度も触れた手。
あわてて引いた手を「静電気だよ」と言い訳する。
驚いた?
おっきくなったでしょ、私の手。
あの頃より、ずっとずっと。
ちょっと冷たいあなたの手にちゃんと触れられたのは、別れ際の改札。
私が電車に乗るまで、ずっと手を振ってくれた。
ありがとう。嬉しかったよ。
メールの電波に乗せて飛ばした言葉遊び。
あなたには分かるかな。
お願い。
分かって。
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