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告白してくれた君さまへ (wakuより) |
- IP: 112.136.22.31
君に恋をしたのは、去年の学園祭。 吹奏楽部の君の相棒は、金色ピッカピカ、バリトンサックス。 テニス部のわたしの相棒は、汚れた黄色のテニスラケット。 接点はなかったね。0だった。 クラスが同じなのに、一度も話した事のない男子。 それなのにわたしは、君に恋をしました。 君の吹いた音の、魔法にかけられてしまいました。
君に振り向いてほしくて、何でもやった。 挨拶は欠かさなかったね。 部活前に『がんばって』の一言を言って、 『うん、そっちも』の一言が返ってくるのが、 楽しくて楽しくて仕方なかった。嬉しくて、たまらなかった。
毎日が、それなりに幸せだった。 がんばって声をかけて、たまに二人で一緒に帰った。 その途中、渡したアドレス。 すぐに返ってきた君のメール、デコ絵文字ばかりで笑えたよ。 可愛いなあって、思ったよ。 わたしが好きだったのは、格好いい君だけど。
最後の席替え。 祈りに祈った。全身全霊で、お願いした。 君はわたしの前の席で、同じ班になった。 何かが通じたのかな? 本当に、本当に楽しかった。 わたしたちは、 朝行ってから帰りの会まで二人で話すほどの仲になったね。 メールもすぐ返ってくる。 二人で帰る回数も増えたね。 期待しちゃったよ。 送別会のとき、手伝ってくれてありがとう。 6時過ぎまで二人で作業してたよね。 帰りは、他愛ないことばかり話して歩いた。 まるでカップルみたいだと、 わたしは沢山の友だちに怒られた。 やめてよー、と笑う表側。 そうなのかな、って期待する裏側。
告白したのは、クラスが終わる、二日前。 君は言った。
好きな人がいるんだ。 友だちとしては大好きなんだ。 だから、これからもよろしく。
そう、言った。 返せたのは、そっかってことだけ。
できるだけ、自然体でいようと思った。 この日を選んで正解だったと、次の日に思った。 今日で終わり。 そう思ったら、テンションが上がったから。 君とはいつも通り、笑いあえたよ。
わたしは君を、諦めました。 桜が散り始めた頃、同じクラスになった君が、 去年と変わってしまった事に気がついたから。 案外、かんたんにすんなり諦めがついた。
どうして、告白してくれたの? わたしに告白する前に、あの子にも告白したんだって? それはいいの、別に気にしていないから。 でも、どうして? 去年だったら間違えなくOKしていたのに。 わたしの脳はもう、君を友だちとしか認識しない。
ごめんね。ごめんね。ありがとう。 さようなら、の方が合っているかな。 さようなら、恋した君へ。
明日からも、友だちだよ。 大好き、これからもよろしくね、わたしの友だちの君へ。
わたしはまた恋をします。 新しい恋、 新しいあなたへ向けて、こんにちは。
次はわたしの声が、あなたに届くといいな。
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