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嘘吐きな君へさまへ  (M.Sより)
IP: 119.72.194.96
また一緒に行こう、またおいでよ。
その言葉がその場限りの口約束だって分かっていたよ。
それでも馬鹿なわたしは嬉しくなってしまうの。叶わない約束がこんなにも愛おしいなんて。
返事のないメール、誘われないままの約束。
よく考えなくてもきみがわたしをどう思っているのかなんて明確なのに
わたしは甘い夢の続きを見たくて現実から目を背け続けていた。

きみに告白紛いなことをして、一年たったね。
きみはそろそろ恋人が出来るかもしれない。
付かず離れずの距離が嬉しくてまやかしでも繋がっていることが幸せだった。
きみが嫁探しとして結構たくさんの合コンに参加していると聞いて
わたしは、あぁ、と思った。
同郷、同じ趣味、似た考え、分かち合う物は多かったはずなのにきみはわたしのことなんかなんとも思っていなかったんだ。

きみと会うたび、連絡するたび、きみがわたしをどう思っているのか
思い知らされるたびにわたしは泣きたくなるのに
きみの記憶に残るわたしはいつでも笑顔でいたいから曖昧に笑うことしかできなくて。

きみが進む道を共に歩めたらどんなに幸せだろう。
たとえ君が、今の仕事を失ったとしてもわたしはかまわないよ。
幸せにしてほしいなんて願わない。幸せを一緒に紡ぎたかった。

あなたの影になりたかった。

あなたと出会ったあの時期
わたしは沢山の物を失い、身も心もぼろぼろだった。
そんなときにあなたは意図せずわたしのまえに現れて
わたしをどん底から拾い上げてくれた。
そして、寄りかかることを許さず、自分の足で歩むことを教えてくれた。
だから、わたしはあなたになら遊ばれても裏切られてもいいとさえ思った。
わたしがきみに差し出せる事なんてなにもなく、きみがわたしに求める物もなにもなく。

ただただ、最初からそこになにもなかったかのように静かに消えていく事だけが確実なことを知っていた。

ねぇ、ずっと好きだったんだよ。
諦めようとしたけど無理だったの。
沢山の幸せをありがとう。人生で一番幸せで辛い恋だった。

最後に、もういちどきみの唇に触れたかった。
わたしはまた、曖昧に笑って手を振るんだろう。
きみはまた、じゃあまたね、と嘘を吐くんだろう。