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本当にお馬鹿さんさまへ  (恋できない人より)
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昨日今日で、私はひどく醜くなってしまった。
何故か、君には分からんだろうね。だって、忘れてたんだもんね。

君は昨日言ったね?
突然バイトのヘルプを頼まれて、断れないから行かなくちゃいけないって。
作業を中断することになっちゃうから、バイトが終わったら学校に来たい。でも来る元気が無くなるかもしれないから、私に連絡するって。
喝入れて、激励して!って言ったね? 言ったな? 確認だってしたもんね?
結果、どうだったのか。
私は、どうして、君なんかのために夜中の3時まで待たなくちゃいけなかったのさ?
はぁ?だよ。本当に。ばかやろう。
君が……連絡入れるって言ったじゃんか。馬鹿みたいに、犬みたいに、待ってる私の身にもなれよ。
どれだけ惨めで、馬鹿みたいだったか、分かるかよ。
私は、君の犬なんかじゃない。忠実に君を待つなんて絶対に嫌だ。
私はペットなんかじゃない。私は、人間だ。犬扱いは、死んでも許さないからな。私のトラウマをいつか教えてあげる。
……君を信じて待っていた自分が、馬鹿馬鹿しくて泣いたよ。信じなきゃ良かった。

で、今日。
君は見事に忘れてたみたいで。
私だって君を責めたかったけど、責められなかった。君が最近すごく頑張ってるのを知っていたから。
「昨日、結局バイト終わってから学校来たの?」って聞いたら、君、笑って誤魔化すように否定したね。
本当は、「連絡くれるっていったやん」とか言いたかった。ちょっと、拗ねてみたかった。
でも、私と君はただの同期。仲間。恋人なんかじゃない。
君を責めて、君に負い目を感じてほしくなかった。
結局、私は我慢して……いや、この程度の我慢なら良い。君の楽しそうな顔を見れたら案外それだけで、気持ちが落ち着いている自分もいるから。

学校に来ないんならさ、私に連絡するとか馬鹿なこと言わんでくれ。
私を期待させるようなことを言わんでくれ。
私は、私は、君との関係を進めたくないんだ。
「○○ちゃんの家に行こうかなぁ」とか馬鹿なこと言ってるんじゃない。来ても絶対に入れないからな。お茶くらいなら用意してやる。

……なのに、私は……君の境遇を知って、君を支えたいと思ってしまった。
惚れた弱み……かなぁ。惚れてなんかないけどな、気になるだけで。
君がいつもニコニコ笑っているのは、その境遇のせいなのかい?
君が女の子が苦手なのも……そうなのかな。
私にそれを教えてくれたこと、事故のその後を教えてくれたこと……私に、少しずつ心を開いてくれているって思っていいんだろうか。
私は、お馬鹿で頼りなくって、時々頑張り屋でお調子者の君を、助けたいと思っているよ。支えたい。そして、私の話も聞いてほしい。
私の心の傷を、知ってほしい。

恥ずかしいことを言ってみるけど、
また君のお家で、のんびりカクテルでも傾けてさ、お互いの傷を教え合いっこしようよ。できれば、二人っきりで。
それから、お花の話をたくさんしよう。あと、映画も見よう。
君が好きな音楽を私は好きじゃないけど、教えてほしいな。りみっくす、ってなんだい? よく分からんから教えてくれ。

そんなとこかな。お願いね。