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姫さまへ  (memeより)
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11月24日。
わたしの青春が始まった日。
終わりの日はまだ来ない。
たぶん、一生、来る事は無い。

あの日から、わたしの青春はずっと続いていて、
まだ終わっていなくて、
あの日から一年と半年くらいの年月が経とうとしている。
早いもので、
君の誕生日は二回目を過ぎて、
もうすぐわたしの二度目の誕生日もやってくる。

このまま時が流れて、
また会ったときには二人の関係が思い出になっているのだなあと思うと、わたしにはどうしようもなく寂しくて、
泣きそうになってしまう。

わたしに限って言えば、
まだ君の温もりを覚えていて、
ずっと一緒に居たかった、とまでは言えないけど、
もう少し一緒に居られたらなあと思うこともある。
もう少しだけ君の隣に居られたら、
もっと違った未来があったんじゃないかなあって、
後悔してしまう。
もっと君の事を分かってあげられたら、
今こんなに寂しい思いをする事もなかったろうに。

君とわたしは似ているようで、
根っこのところは、全然違っていた。
まあ、それは人間に生まれた以上当たり前の事なのだけど。

あれは恋だったかと聞かれると、
答えに困る。
今となってはもう、
友情の延長線上にあった何か、でしかないのだけど、
でも同時に、特別な何か、であったことも確かだとは思う。

わたしは生まれ変わるなら絶対、
人間以外の何かがいいと思っていた。
鳥とか、もしくはいっそ、生まれ変わらないとか。
そもそも生まれ変わりなんてものは無いのだとかいうそういう議論は抜きにしても、わたしはとにかく人間は嫌だった。

もっと生きてるんだなあって思えるものになりたかった。

でも、わたしは君と出会って、
次の未来でも君の隣に居たいと思った。
もしそれが出来るなら、
次も人間でもいっかって思った。
今、人間で良かったって思った。
君の声がわたしを呼んでくれて、
君の目がわたしを見つめてくれて、
君の耳がわたしに傾けられて、
君の腕がわたしの右肩に触れて、
君の心が、少しだけわたしの心を引っ張ってった。
ドキドキとか、
そういうのとは違うけど、
心を惹かれた。
君を大事にしたいと思った。

どうだろう。
わたしは君を大切に出来ただろうか。
君はわたしを、大事にしてくれていたのかな。
わたしなりの君への愛情が、
少しでも君に届いてくれていたなら良かったけど。

これはやっぱり恋とは違ったと思う。
君と過ごした日々には、
恋人らしいことも無かったし。
おかげでわたしは、
恋人が居たのにキスも手を繋いだこともない、
よく分からない女になっちゃったよ。

たまにあの頃の制服の男の子を見ると、
君の可愛らしかった憎たらしい笑顔を思い出してしまう。

いつか忘れさせてよ、こんな思いも。
この青春の終わりに、記念日をちょうだい。
また会った時にでも。

いつかの恋人の君へ