伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」の感想
●読書感想文 ゴールデンスランバー 著者:伊坂幸太郎 発売:2010/11/26
伊坂幸太郎さんの小説を読むのは初めて。 凄い。感動しました。
読後感は複雑なのですが、最近、読んだ小説の中では、一番面白かったです。読書というより映画を観ている感じで、読んでいる最中は楽しくて楽しくて。こんなに続きが読みた〜いと本を楽しみにする生活は久しぶりでした。
この本は、絵里ちゃんに教えてもらいました。彼女がツイッターで伊坂幸太郎がおもしろいと呟いていたのを見つけて、オススメの本を教えてもらったのです。
いつも一生懸命で可愛らしい呟きをしている絵里ちゃん。 小説もきっと可愛い小説なんだろうなと読み始めると、なんと『首相暗殺の話』。私が持っていたイメージとは真逆だったので、「え〜こんな話が好きなの〜」と驚いたんだけど、読み進めていくうちに、伊坂幸太郎さんの独特な表現や優しさに気づき、彼女が伊坂幸太郎に惚れる理由がなんとなくわかってきました。
昔、ジクソーパズルにはまった事があるんです。最初は500ピースくらいだったんだけど、500ピースでは満足できなくなりどんどんピースが増え、最後は3000ピースを作ってました。作るのは楽しいんだけど、問題は、完成したジクソーパズルが邪魔になること。家に置けなくなり、友達にプレゼントするようになり、だんだんもらってくれる友達もいなくなり、あきらめました。
伊坂幸太郎さんの小説って、ジクソーパズルに似てます。ジクソーパズルを完成させていくような面白さがあります。物語に隙がなく、小説の後半は、え〜あんなことが伏線だったの〜と驚くことの連続でした。おかげで、第二部と第三部は何度も何度も読み返し。構成だけでなく、話も面白いし、彼の小説を知らずに死ななくてよかったという感じです。
本当に完璧な小説でしたが、ひとつだけ満足できないことがありました。ネタバレになるから書かないけど、この小説以上のドラマチックな展開があるのかと聞かれたら即答します、「ありません」。なんだけど、どうにかして欲しかったです。
もし、昔の彼が容疑者になったら、私はどうするだろう? 絶対に彼は犯人じゃないと確信できたとしても、助ける自信はあるかな〜?かなり勇気が要ると思うんだよね。ましてや結婚して子どもがいて守るべき家族がいたとしたら、なおさら勇気が要ると思うんだよね。だから、もし主人公と同じ立場になって、私が容疑者になり、昔の彼が自分の無実を信じて助けてくれたら、その事実だけで有り難く暮らしていけそうな気もします。そう考えると、この小説は間違いなく「たいへんよくできました」なんだと思います。
この小説、映画化されてるんですね。堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆で映画になってました。評価を見るとまずまず高く、音楽監督が「家政婦のミタ」の主題歌を歌った斉藤和義だと知り、ものすごく観たくなってきました。機会があれば映画も見てみたいです。
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