サラメシで紹介「おべんとうの時間」阿部夫妻
お弁当に思い出はありますか? 私はいっぱいあります。
長くなるので思い出話は省きますが、思い出を思い出しながら思ったのは、今は専ら弁当を作る側の人間になったけど、私のために弁当を作ってくれた人は母だけだったなぁと。
駅弁とか空弁とかを買えば、弁当を作ってもらったことになるかもしれない。でも、弁当の中身を知ってるのと知らないのではわくわく感が違うよね。
「今日のおかずは何だろう」とワクワクしながら開ける弁当箱。もう二度とあのワクワクを味わうことはないんだ。そう思うと、なんか寂しい。そう思うと、もっとちゃんと感謝しておけばよかった、と
おべんとうの時間を読みながら思いました。
この本は、お弁当にまつわるエッセイ本。 ANAの機内誌「翼の王国」に連載されていたものをまとめた本です。 NHKの「サラメシ」にも時々登場します。 Amazonのレビューも高評価。
この本を読んで、じーんとする人はどんな人なんだろう? 何歳くらいから、じーんとするんだろう? 若い頃にはわかんない思いが詰まっている感じがする。 少なくとも、母親に弁当を作ってもらっていた頃の私は、 じーんとしなかったと思う。だって当たり前だと思っていたもん。 自分が作るようになって有り難みがわかり、 思い出もたくさんできたから、じーんとしたんだと思う。
「おべんとうの時間」の本の中で 30年間、奥さんに弁当を作ってもらっている営業マンが語ってました。
弁当ってふたりで食べるものだと思うんです。 作る人と作ってもらう人のふたり。 作ってくれる人の気持ちは伝わるから、ありがたいなぁと思います。 そしたら、何も言えないです。
作る人と作ってもらう人のふたりで食べる弁当かぁ。 そんな風に考えた事なんてなかったなぁ。 もっと早く気づいていればよかったな。 自分が思わなかったことを思ってもらうのは、ずうずうしいけど、 私が作る弁当もそんな風に思いながら食べてくれると嬉しい。
「おべんとうの時間」の本には、39人の弁当が紹介されています。 写真は夫の阿部了さん。文章は妻の阿部直美さん。 夫婦で作った1冊だから、それだけであったかいです。
当たり前だけど、どれひとつとして同じ弁当はありませんでした。 そして、思い出も、弁当を作る人も、人によって様々です。 自分で作る人、奥さんが作ってくれる人、旦那さんが作ってくれる人、 母親が作ってくれる人・・・、母親の呼び方まで人によって違うんだよね。 今風だと感動したのは、彼女に弁当を作っている高校生。 高校生の弁当男子ですよ。
彼女のお弁当には必ず入っているものがあるの。 それは「ホウレン草」。 貧血気味の彼女の身体を気遣っているんだって。 なんて優しくて健気な彼氏なの〜と羨ましくなりました。
私もまだ諦めちゃだめかしら。 この先、更年期の身体を気遣って弁当を作ってくれる人が現れるかしら。 強制して作ってもらうのは嬉しくないから、自然と現れて欲しいわ。
【話題の本】読書感想文
|