伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」の感想
●読書感想文 オーデュボンの祈り 著者:伊坂幸太郎 発売:2003/11/28
エッセイは、デビューしたての初期の作品が好きです。
初期の作品は、自分の得意分野や自分の拘りなど、 語りたいことを語り、生き生きしている感じが伝わってくるので、 読んでいる私も作家と一緒に一喜一憂できて楽しいです。
でも、小説は逆かも。 そんなにたくさん小説を読んでいるわけじゃないけど、 今まで読んだ作家でデビュー作がおもしろいと思った人はいません。
何冊も小説を書き続けられる作家は、才能あるので、 デビュー作もそれなりに面白いけど、 小説は書けば書くほど上手くなる気がします。 もちろん作家によって山も谷もあると思うけどね。
伊坂幸太郎のオーデュボンの祈りを読みました。 伊坂幸太郎のデビュー作です。
初めて読んだ伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」が、とっても面白くして、また彼の小説を読みたいと思っていたところに、伊坂幸太郎の小説は全て読んでいるという友達(まいちゃん)からお便りをいただき「伊坂幸太郎さんの本は、登場人物が違う作品に出てくることも多いので、出版された順に読むといろいろ面白い発見があります」と教えてもらいました。
初心者には、有り難いアドバイスです。 「それならデビュー作を読まなくちゃ♪」 と「オーデュボンの祈り」を買ったのは今年の1月でした。
あれから4ヶ月。 やっと読み終わりました。
4ヶ月、ずっと読んでいたわけではなく、最初の数頁を読んでは他の本に浮気してました。浮気を終えまた読んでみるんだけど、誰が誰だか忘れているから最初から読み直し、そしてまた浮気し、そんなことを繰り返した4ヶ月でした。
でも、読めるときは一気に読めるんですよね。 結局、3日で読み終わりました。
なんかさ、ずるいの。456頁あったんだけど、最初の300頁はホントつまんないの。終わりのほうで、主人公が、『「何がカカシだ」と笑い飛ばすだろう』とこれまでの出来事を振り返るんだけど、私も最初の300頁は、ずっと同じ事を思いながら読んでました。「何がカカシなのよ」と。
でも、300頁を超えた辺りからおもしろくなり、先が気になって止まらなくなり、「何がカカシなのよ」とあれこれ考えることもなくなり、カカシの世界にどっぷりはまっていました。「ゴールデンスランバー」と比べると満足度は低いけど、やっぱり伊坂幸太郎はただ者ではないと思った。早く、次の作品が読みたいです。
先月、石原都知事が尖閣諸島の購入計画を発表しました。それによって、尖閣諸島のいくつか島は個人の持ち物だと知りました。また、魚釣島には人間が持ち込んだヤギが繁殖していることを知りました。そして、魚釣島の灯台はそのヤギを持ち込んだ人達が立てたと知り、「オーデュボンの祈り」に出てくる「荻島」のことを思いました。
「荻島」は架空の島だけど、本当にこういう島があるんじゃないだろうか、と思っちゃうくらいタイムリーな時期に読み、そういう意味でも面白かったです。最後に、城山刑事は大嫌いだけど、彼がいたおかげでこの小説は倍楽しかったと思います。
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