はじめて二人だけで会った日
就職活動も佳境に入り、次々と、内定をもらった人たちの名前が、掲示板に増えていきました。
そんな中、まったく何も決まっていなかった私は、学校側からの誘いもあって、某イベント会社にお手伝いに行くことになりました。
新事業に参加し、卒業後は社員として働けるということで、業務内容にちょっと疑問を持ちつつも、「このまま何も決まらないよりは…」と、受けてしまったのです。
基本的には、事務的なお手伝いでした。広告原稿をデザイナーさんの元に取りに行ったり、電話対応や、パンフレットの作成送付、など。自分の将来に、夢だからと追いかけてきた業界(ちょっと違ったけど…)だけど、これでいいの?と疑問を持ちながら働いていたので、やっぱりうまくなじめず、頑張ろうという元気も沸きませんでした。
結局、新事業も私も良い波に乗っておらず、この会社は8月いっぱいでお手伝いを辞めることになります。その間、やはり仕事や将来について悩んだりすると、頼るのは案の定まっきぃでした。
一度、上司に今の仕事をやめたい…と相談したときに、渋い返事を返され(当然だろうけど…)、辞められないかもしれない、とまっきぃに話したことがありました。電話をくれて、その日の夕方食事に連れ出してくれ、色々と話を聞いてくれました。
将来のこと、仕事のこと。それだけじゃなく、音楽のことや学校のこと。 たわいもない話でおいしく食事をしました。
会社の近くにあったタイ風ちゃんこ鍋のお店でした。(ですが、この数年後このお店は移転してなくなってしまいました。)ちゃっかりご馳走になって、「次回は私がご馳走するから!!」と言い張り、ほぼ無理やりに、次の約束を取り付けました…。思えば、この日がはじめて二人だけで会った日でした。
食事の後、缶ビールもってちょっとした広場になっているところで、涼んでいました。やっぱり、まっきぃのとなりは落ち着く。想いを閉じ込めているとはいえ、そのことに変わりはありませんでした。
「ゆう☆は、リアリスト見習いだから。これから頑張ることは多いだろうけど、ちゃんとできる子だから」。と、励ましてくれていました。思えば当時の彼にとっての私は、手のかかる妹のような存在だったんでしょう…。私もそれをなんとなく感じ取り、お互いがお互いの役を演じていたような気がします。
それでも、穏やかな空気がそこにはありました。
そのまま、話は尽きず(というか、私ばかりしゃべって)終電ぎりぎりになって、あわてて電車に向かって走っていると、まっきぃが“ぽろっ”と言いました。
「間に合わなかったら、うちに泊まっていいから」
その言葉に一瞬?が飛んだんだけど、電車に乗ってからも、今すぐまっきぃのところへ行きたくて仕方なかった。
ホントは、この電車を見送ってしまいたかった。 けど…行きませんでした。
理性が働いたというより、閉じ込めた気持ちをまたコントロールできなくなるのが怖かった。まっきぃは知ってか知らずか(というか、完全に「友達」としてだったんだろうけど)、こうやって時々私の気持ちを再燃させてくれるのでした。
この夏、まっきぃは無事今のところに就職が決まり、内定決定以後の夏休みは実家のほうで過ごしていました。
彼が卒業しても大阪にいる。と決まった時点で、私もホッとしていました。卒業しても会える可能性が、わずかでもできたから。そのことが、私の中で大きなエネルギー源になりました。
ゆう☆の結婚体験談1月31日
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