映画「沈まぬ太陽」渡辺謙のモデル小倉寛太郎
映画「沈まぬ太陽」を観ました。
監督:若松節朗 脚本:西岡琢也 出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香 公開:2009年10月
日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれた「沈まぬ太陽」を映画館で観ました。上映時間が3時間22分もある長い長い作品で、途中10分間の休憩がありました。
休憩は突然やってきました。テレビのCMのような感じかなと思ってたら、突然ぶちっと切れました。「不毛地帯」のモデルである瀬島龍三氏が登場した辺りでした。ホントに突然でびっくりしました。
長かったけど、映像は綺麗だったし、海外ロケは豪華だったし、内容は濃かったし、演技がうまい役者さんばかりだったので、時間は全く感じませんでした。
映画を見終わった後、牛丼が食べたくなりました。
牛丼のシーンは、映画の中で一番好きです。「うまいうまい」と言いながら牛丼を食べる父。私には、この「うまいうまい」が「ありがとうありがとう」に聞こえてぐっときました。反抗していた息子が、父親を理解したときの親子関係っていいもんですね。
全体的に、主人公である恩地元は、素晴らしい人に描かれていました。一方で、三浦友和が演じる行天四郎はとっても悪い奴。だから、恩地元の性格の良さがキラっと輝いていたけど、人間って欠点ばかりの人もいなけりゃ長所ばかりの人もいないじゃない。だから、一方に偏るのはどうかなと思いながら見ました。
恩地元のモデルは小倉寛太郎さんと言われていますが、行天四郎にはモデルはいないようです。最初から主人公を引き立てるために創られた存在なんでしょうね。フィクションだと思えればいいんだろうけど、飛行機事故があまりにもリアルに描かれているからそう思えなくて。なんだか小倉寛太郎さんばかりヨイショしている感じがしました。
恩地元のモデルである小倉寛太郎さんと佐高信さんの対談本「組織と人間」を読みました。この対談は小倉寛太郎さんが他界する2年前の2000年に実現したもの。「沈まぬ太陽」についても語られていましたが、やはり「小倉を美化しすぎ」という批判はあったようです。また、小倉さんは御巣鷹山には登ってないので、そのことについても叩かれたようです。恩地元は山崎豊子さんによって創られた人物です。小倉さんには関係ないのに叩かれるのは可哀想なんだけど、正義があまりにも一方的すぎるので、小倉さんと対極にいる立場の人を思うと叩きたくなる気持ちもわかります。
善の部分が強かった渡辺謙、悪の部分が強かった三浦友和、ふたりの間で、もっとも人間らしく描かれていたのが香川照之でした。人間の弱いところも強いところも見せてくれて、「ちょっと」どころかものすごく輝いていました。
ちょっぴりネタバレあり映画レビュー
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