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映画「沈まぬ太陽」渡辺謙のモデル小倉寛太郎

映画「沈まぬ太陽」を観ました。

 監督:若松節朗
 脚本:西岡琢也
 出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香
 公開:2009年10月


日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれた「沈まぬ太陽」を映画館で観ました。上映時間が3時間22分もある長い長い作品で、途中10分間の休憩がありました。

休憩は突然やってきました。テレビのCMのような感じかなと思ってたら、突然ぶちっと切れました。「不毛地帯」のモデルである瀬島龍三氏が登場した辺りでした。ホントに突然でびっくりしました。

長かったけど、映像は綺麗だったし、海外ロケは豪華だったし、内容は濃かったし、演技がうまい役者さんばかりだったので、時間は全く感じませんでした。


映画を見終わった後、牛丼が食べたくなりました。

牛丼のシーンは、映画の中で一番好きです。「うまいうまい」と言いながら牛丼を食べる父。私には、この「うまいうまい」が「ありがとうありがとう」に聞こえてぐっときました。反抗していた息子が、父親を理解したときの親子関係っていいもんですね。

全体的に、主人公である恩地元は、素晴らしい人に描かれていました。一方で、三浦友和が演じる行天四郎はとっても悪い奴。だから、恩地元の性格の良さがキラっと輝いていたけど、人間って欠点ばかりの人もいなけりゃ長所ばかりの人もいないじゃない。だから、一方に偏るのはどうかなと思いながら見ました。

恩地元のモデルは小倉寛太郎さんと言われていますが、行天四郎にはモデルはいないようです。最初から主人公を引き立てるために創られた存在なんでしょうね。フィクションだと思えればいいんだろうけど、飛行機事故があまりにもリアルに描かれているからそう思えなくて。なんだか小倉寛太郎さんばかりヨイショしている感じがしました。

恩地元のモデルである小倉寛太郎さんと佐高信さんの対談本「組織と人間」を読みました。この対談は小倉寛太郎さんが他界する2年前の2000年に実現したもの。「沈まぬ太陽」についても語られていましたが、やはり「小倉を美化しすぎ」という批判はあったようです。また、小倉さんは御巣鷹山には登ってないので、そのことについても叩かれたようです。恩地元は山崎豊子さんによって創られた人物です。小倉さんには関係ないのに叩かれるのは可哀想なんだけど、正義があまりにも一方的すぎるので、小倉さんと対極にいる立場の人を思うと叩きたくなる気持ちもわかります。

善の部分が強かった渡辺謙、悪の部分が強かった三浦友和、ふたりの間で、もっとも人間らしく描かれていたのが香川照之でした。人間の弱いところも強いところも見せてくれて、「ちょっと」どころかものすごく輝いていました。

2月11日




映画「地下鉄に乗って」メトロにのって感想

映画「地下鉄(メトロ)に乗って」を観ました。

 監督:篠原哲雄
 脚本:石黒尚美
 出演:堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子
 公開:2006年10月


泊まったホテルにスカパー!チャンネルがあって、たまたま観た映画です。

チャンネルを回すと始まったばかりで、どんな映画か検索すると、「主役の堤真一」と「愛人の岡本綾」の本当の関係が書いてあったサイトを見てしまい、しまったと思ったけど、そこに惹かれ最後まで観ました。

たまたま観た映画だったけど、面白かったですよ。ものすごく得した気分。「主役の堤真一」と「愛人の岡本綾」の本当の関係をネットで見たときは、見るんじゃなかったと後悔してたけど、ふたりの関係を知ってたほうが感情移入できました。というか知らずに見たら、わけわからなかったかも。



「好きな人のためなら何でもできますか?」

と聞かれたら、正直、悩みます。好きな人のためなら頑張りたい。自分のことより優先させたいし、そうしてきたつもりだけど、それでも「何でもできる」と言える自信はないです。いくら大好きな人でもできないことはあるから。

しかし、この「地下鉄(メトロ)に乗って」という映画には、「好きな人のために、そこまでしちゃいますか〜」という人が出てきます。

ただ、レビューを読んでると、「そこまでしちゃいますか〜」という部分は賛否両論でした。私は好きだなぁ。たしかに、人としてどうなの?と思うし、現実にそんな人がいたら軽蔑するけど、映画なので、映画だから、そういう愛があっていいと思うのよね。そこまでできちゃうことが究極の愛だと感動しました。私は好きだなぁ。残酷だけど。

ただ、娘と母が逆の立場だったら、たぶん許せない。たとえ映画の中だけでも許せない。「何なんだ!この映画は〜」と怒ってた思う。でも、どうして娘なら許せて、母親なら許せないんだろう。「親は子どものためなら何でもできる」と「子どもは親のためなら何でもできる」がイコールにならないのと同じなんだろうか。

堤真一のお父さん役は、大沢たかおでした。ちなみに堤真一は1964年生まれで、大沢たかおは1968年生まれ。実年齢は大沢くんが年下なのに、お父さん役なんだよ。それがこの映画のおもしろさ。全く違和感なく観られます。

堤くんと大沢くんは、父と息子の葛藤やすれ違いを見事に演じていました。愛人役の岡本綾さんは地味なんだけど、幸薄そうな雰囲気がピッタリ。堤真一とのラブシーンは切なかったです。でも彼女はもう引退してしまった人なんですね。もったいない。

原作は浅田次郎の小説。
アマゾンでも評価が高かったから読んでみようかなぁ。

10月23日




映画「悪人の感想」岡田将生と満島ひかり

映画「悪人」を観てきたとよ。

 監督:李相日
 脚本:吉田修一、李相日
 出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり
 公開:2010年9月


松たか子の「告白」を観た後で、似たような暗い映画なので比べちゃうけど、「告白」は映画より小説が好きだけど、「悪人」は小説より映画が好きです。

ただ、「告白」を観たときは、森口先生はこんな風に語っていたんだ、生徒はこんな風に先生の話を聞いていたんだ、という新しい感動があったけど、「悪人」にはそういう新しい感動はなく、もう一度、小説を読み直している感じがしました。そういう意味では、映画館で観るなら「告白」かなぁ。

原作に忠実でした。といっても上映時間は139分なので、映画には全く出てこない登場人物や表現されてないストーリーはもちろんありました。ただ、小説で感動したシーンはほとんど映像化されていました。例えば、石橋佳乃の父親が増尾圭吾の友達に「大切な人はおるね?」と聞くところやバスの運転手が祐一の祖母ちゃんに「しっかりせんといかんよ」と声をかけるところなどなど。

でも、登場人物の気持ちは、けっこう端折って映像化されていたので、小説を読んでない人は感動が薄いかもしれません。そう思うと詰め込みすぎのような感じがして、もう少し絞ったほうがよかったのかも。しかし、ラストは小説より映画のほうがええです。タクシーの中で深津ちゃんが泣いてくれたらもっと感動したのに。

これ、ネタバレしてるように見えるけど、核心には触れてないから安心してね。



映画と小説の大きな違いは、深津絵里が演じた馬込光代の人物像でした。小説では双子だったけど、映画では年の離れた姉妹。しかも映画の妹は小説と違い自己中。でも、その設定だから、馬込光代の孤独さや寂しさはより伝わってきました。祐一と簡単にあんな関係になるのも理解できた。うん、女だってそういう気分になることあるんよ。たぶん。。。

深津絵里は演技がうまい。深津ちゃんだから、馬込光代に共感できた部分は大きい。ひとりぼっちでケーキを食べるシーンがあるんだけど、なんとも言えない切ない顔してケーキを食べるのよ。あんな顔してケーキを食べられたら・・・。その顔はずるいよ深津ちゃんと思っちゃいました。

妻夫木君もよかったですたい。「この役を絶対やりたい」と自分から言い出しただけあって清水祐一になりきり悪人顔と善人顔を見事に見せてくれました。李監督がインタビューで「妻夫木聡が演じるということも含めて、祐一を完全な悪人としては捉えることは難しい」と語っていたけど、私も妻夫木君だから(今までのイメージとかルックスの良さで)、かなり同情したような気がします。妻夫木君には、どんな悪いことをしても許してあげたくなる魅力があるの。でも、だからこの映画に深みが出たような気がします。

映画を観る前は、樹木希林と柄本明に期待していたんだけど、見終わった後は、岡田将生と満島ひかりに拍手拍手です。あの嫌な役を、やっぱり嫌な演技で、よく演じたと思いますよ。満島ひかりちゃんってこの映画で初めて名前を覚えたんだけど、「月の恋人〜Moon Lovers〜」で篠原涼子のアシスタント役をしていた女優さんなんですね。雰囲気が全く違うので気づきませんでした。

パンフレットのインタビューを読んでいると、満島ひかりちゃんは佳乃役のオーディションを自ら受けたそうです。「自分の人生を振り返ると佳乃のように、自分に小さな嘘をたくさん貼り付けた時期が自分にもあったから、過去の自分自身に立ち向かってみたくなった」と語ってました。でも、現実の役作りは苦労したみたいで、李監督から「満島さんは佳乃みたいな女の子、嫌いでしょ?でも愛して欲しいんだ、もっともっと好きになってほしいんだ」と言われ続け、日々すこぶる混乱したそうです。

そうそう、パンフレットに書かれていた裏話で「へぇ」と思ったのは、祐一の携帯電話に入っている佳乃のエロ画像は妻夫木君が実際に撮影したこと。そして、それが初日の撮影だったこと。いろいろ拘って作ってるみたい。でも、期待していた九州弁はあんまり訛ってなかった気がする。と言いつつ、見終わるとすっかり感化されていたけどね。映画館から出た最初の言葉は「おもしろかったと?」だったし。

この物語は「悪人とはいったい誰なのか」というのがテーマですが、そんなのハッキリしてます。どう考えても一番の悪人は犯人です。たしかに犯人に同情すべきことはたくさんあります。監督は「子どもを捨てるような娘を育てたばあさんも悪人」だと語ってましたが、それもわかるけど、やっぱり殺人はダメだよ。

犯人はカッとなって佳乃を殺しました。
でも、佳乃の父親はカッとなっても増尾を殺さなかった。
この違いが「悪人」と「普通の人」の違いだと思う。

でもさ、彼に大切な人がおらんのは、誰のせいなんやろね。

10月15日




映画「告白」の感想「松たか子の最後の一言」

映画「告白」を観ました。

 監督:中島哲也
 脚本:中島哲也
 出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃
 公開:2010年6月


少年犯罪を担当している弁護士さんが言ってたのですが、犯罪を犯した息子や娘の母親がよく言う言葉が「もう一回、この子をお腹に戻して、やり直したい」なんだそうです。

親だって人間。
どんなに頑張っても間違いはある。
反省もする。後悔もする。

だけど、だけど、
親は子どもの前で子育てを後悔しちゃいけないと思う。
とくに思春期の子どもの前では・・・。

思春期は、周りの目を過剰に意識してしまう時期です。心のよりどころをいつも探している状態です。そんな心が不安定な時期に、親から自分の子育てを後悔されたら、子どもは「自分が否定された」ようにしか感じないと思う。たとえ、親が子どもではなく自分を責めている言葉だとしても、もし「育て方を間違えた」と言われたら、子どもは「お前は出来そこないの人間だ」と言われているように感じるんだろうな・・・

と映画「告白」を観て、そんなことを考えました。
小説の感想に引き続き映画の感想です。

映画は、小説を読んでから観たので、どうしても比べてしまいます。どちらが好きかと聞かれたら間違いなく「小説」と答えます。ただ、小説は他人事のように読んでいたけど、映画は「もし、私が松たか子の立場だったら」、「もし、私が木村佳乃の立場だったら」と考えていたので、感情移入できるのは映画だと思います。

映画も小説と同じく森口先生の独演会から始まりましたが、映画は、小説では見えなかった生徒達の様子が映像で見ることができて、私の想像を超える態度の悪さに驚きながらも、「そっか森口先生はこんな状態の中で淡々と話していたんだ」と小説の中にいる人が本当に生きているような不思議な気持ちにもなりました。松たか子が上手いんです。

岡田将生が演じるウェルテルもよかったです。彼は学生服を着ているイメージが強かったんだけど、松たか子と同じく原作から飛び出してきたみたいでした。あと少年Bを演じた下村直樹もよかったな。難しい役なのによく頑張ってました。でも、中学生に感情移入することはなかったなぁ。私がそれだけ年を取ったということなんだけど。

告白の監督は、中島哲也監督。カラフルなイメージがあるのですが、今まで見た中島監督の作品(下妻物語&嫌われ松子の一生)と比べると地味でした。でも、音楽は常に激しく流れ、映像はCMのようにインパクトがあり、演出はミュージカル仕立てありで、中島監督らしさは十分伝わってきました。しかし、それが逆に嘘っぽくて冷静に観てました。そしてなにより違和感を感じたのは最後の一言。たぶん、最後の一言に監督の思い入れがあるんだと思うけど、私はないほうがよかった感じがしました。

「告白」のパンフレットを買いました。なぜか売り場の見える場所にはなく隠されていました。R-15指定だから? パンフレットで面白かったのは生徒達の紹介。1年B組全員の名前と一緒に所属している部活動も書かれていました。ひとりひとり人物設定しているんでしょうね。ちなみに、少年Bの下村直樹は「元テニス部」、クラス委員の北原美月は「バトミントン部」、少年Aの渡辺修哉は「帰宅部」でした。

芦田愛菜ちゃんが松たか子の娘役で出てました。可愛かったですぅ。
出番はちょっとだったけど存在感は大。
でも、「Mother」と同じく可哀想な役なの。
お願い!次の作品は彼女を幸せにしてあげて〜。

9月24日




沢尻エリカと北川景子が姉妹役「間宮兄弟」

映画「間宮兄弟」を観ました。

 監督:森田芳光
 脚本:森田芳光
 出演:佐々木蔵之介、塚地武雅、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子
 公開:2006年5月


「沢尻エリカと北川景子が姉妹役だよ」と教えられ、「えぇぇええ」と驚いていたら「間宮兄弟」という映画の話でした。

なんとなく見始めたら最後まで観てしまいました。とくに大きな事件はなく、とくに大きく学べることもなく、映画館で観るほどの内容でもなかったけど、こういう映画好きです。いや〜癒されましたわ。

原作は江國香織なんだけど小説も同じ空気感なのかな。
映画はすごくほのぼのとしていて心がほっこりしました。

お兄ちゃんはビール会社の商品開発研究員。弟は小学校校務員。結婚しててもおかしくない年頃なのに彼女すらいない真面目が取り柄のふたり。30歳過ぎたおっさんが仲良く同居なんて、普通の感覚だと気持ち悪い感じもするんだけど、なんかいいんだよな。私も仲間入りしたい。枕と箸を持っておじゃましたいくらい羨ましい同居生活。

どんなに仲良くなっても初めて男性の家に行くときってそれなりに警戒してしまうものだけど、この二人なら絶対に間違いが起きないだろうと思える。二人とも恋愛対象にはなりにくいタイプなの。でも、結婚したら幸せにしてくれそうなタイプ。どうして女子はこういう真面目な人には惹かれないんだろうね。

兄弟を演じたのは、佐々木蔵之介と塚地武雅。ふたりとも出過ぎないところがよかったです。沢尻エリカと北川景子の姉妹役もこれまたよかったです。沢尻エリカはエリカ様になる前の沢尻エリカで可愛らしかったし、北川景子は月の恋人の柚月を思い出させるはっちゃけぶりで、彼女はこういう役をしても嫌みがないからいいなぁと思う。

常盤貴子はほんわかした役柄なんだけど、さすがだな〜と思わせる存在感がありました。しかし、私が何よりも驚いたのが、間宮兄弟の母親が中島みゆきだったこと。もうそれだけで見る価値ありでした。

8月21日




「サマーウォーズ」陣内万助は波平の永井一郎

映画「サマーウォーズ」を観ました。

 監督:細田守
 脚本:奥寺佐渡子
 出演:神木隆之介、桜庭ななみ、富司純子
 公開:2009年8月


陣内家16代目当主の次男(陣内万助)。
彼の声がどうしても気になり、陣内万助が出てくるたび、「どっかで聞いたことがある」「おまえは誰だ」とぶつぶつ言いながら観てたけど、気になってしかたないので調べたら・・・波平!

波平!

声の主は、サザエさんのお父さん磯野波平こと永井一郎さんでした。そういえば、永井一郎さん、先日はゲゲゲの女房にも猫役で登場してました。猫の時は違和感なかったんだけど、サマーウォーズでは70歳の金髪おじいさん。波平が54歳だから波平より年上なわけで、なんだか波平がファンキーなおじいちゃんになったみたいでした。

サマーウォーズはアカデミー賞・最優秀アニメーション作品賞を受賞した作品。設定が今風で面白いです。インターネットという仮想社会と現実社会を対比させているんだけど、その現実社会が古い家制度が残る田舎の大家族だったのでわかりやすかったし、いろいろ考えさせられました。

ただ、どうも展開が急すぎてしっくり来ない所があり、物足りなさも大いにあり。だったのですが、どうやらもの足りなかったのは、金曜ロードショーで観たからみたい。編集は細田監督自ら手がけたそうだけど、かなりカットされているらしく、例えば、劇場版では甲子園のシーンがあるらしいのですが、私が見たTV版は全くそんなシーンはありませんでした。ちぇっ。タダで観られるんだから仕方ないけどね。

好きな登場人物は、陣内栄。おばあちゃん。
ものすごく厳しいおばあちゃん。
一緒に暮らしていたらうっとうしいかもしれない。
でも、おばあちゃんの「ご飯は食べたのかい?」は胸が熱くなりました。

一番いけないのは、
お腹が空いていることと、
ひとりでいること。

8月14日




映画「県庁の星」の感想(どんな役も織田裕二)

映画「県庁の星」を観ました。

 監督:西谷弘
 脚本:佐藤信介
 原作:桂望実
 出演:織田裕二、柴咲コウ、紺野まひる、佐々木蔵之介、石坂浩二
 公開:2006年2月


織田裕二さんは木村拓哉さんと同じで、どんな役を演じても織田裕二に見えますが、先日鑑賞したばかりの「アマルフィ女神の報酬」の織田裕二と「県庁の星」の織田裕二は、どちらも同じ役人なのに、同じに見えなくて、同じような演技をしているように見えても微妙に変えているのがわかり、織田裕二はやっぱり役者なんだなぁと思いました。

県庁の星での織田裕二は、マニュアル人間で出世にしか興味がないエリート役人。自分より立場の弱い人間は完全に見下している嫌な奴です。そういう憎々しいところを演じさせるとうまいんですよね。

その織田裕二と対極に描かれているのが、スーパーのパート店員である柴咲コウ。相変わらず気の強い役なんだけど、これまた好演でして、ふたりのバトルはたいへん面白かったです。織田くんとコウちゃん以外の役者さん達も実力者揃いだったから、安心してストーリーを楽しむことができました。

ストーリーはすごく単純。
県庁と民間企業との人事交流研修を通して役所と民間の違いを描き、スーパーと行政を立て直す改革物語なんだけど、この映画は、公務員は融通が利かなくて駄目だけど、民間人は優秀であるというステレオタイプな描き方ではなく、どちらの欠点もちゃんと描いているところが良かったです。

スーパーの改革物語なので、伊丹十三監督の「スーパーの女」に似たところがありました。でも、「女はデパ地下を2周する」とか「女は形のない者に金を払う習性がある」という豆知識なんかは面白かったです。ただ、行政改革については、大袈裟な展開のわりにスケールが小さくてもの足りませんでした。でもそれが返ってリアルでした。

「目の前の問題から逃げだす人は、人生いかなる問題からも逃避する人です」

同じ監督、同じ織田裕二の作品である「アマルフィ女神の報酬」は、イタリアの景色が美しいので映画館向きでしたが、「役所の星」は映画館に行かなくても楽しめる作品。だけど、どちらか見るなら「県庁の星」がおすすめ。見終わった後、すかっと爽やかな気持ちになれる映画でした。

5月3日




「アマルフィ女神の報酬」佐藤浩市のポスター

映画「アマルフィ女神の報酬」を観ました。

 監督:西谷弘
 原作:真保裕一
 出演:織田裕二、天海祐希、戸田恵梨香、佐藤浩市、福山雅治
 公開:2009年7月


飛行機の小さな画面で観ました。たぶん、きっと、映画館のような大画面で観たら、全編イタリアロケをうっとり楽しめ、感動もひとしおだったと思う。小さな画面で観てしまったからなのか、もの足りませんでした。

犯人は途中でわかってしまうし、せめてあっと驚く事実が隠されていたら満足できたんだけど、大がかりな犯罪を計画しておきながら、動機はとっても庶民的。もっとすごい過去があるかのように見えたから薄っぺらく感じました。前半が面白かっただけにちょっと残念。

しかし、織田裕二と福山雅治のツーショットは見る価値あり。時間にすると一瞬なんだけど、ファンじゃなくても「きゃ〜」と黄色い声を上げそうになるくらい贅沢なツーショット。ふたり並ぶと色気ありすぎて、きっと映画館で観ていたら鼻血でそう(笑)

事件は残念だったけど、天海祐希と織田裕二の関係はよかったです。織田くんのキャラクターが最後まで崩れなかったのもいい。

公開前の番宣番組で天海祐希が裏話をしてました。イタリアで、織田裕二、佐藤浩市、福山雅治の3人に囲まれて食事したそうです。すんげえ羨ましくなる裏話。それからのポスターに使われている佐藤浩市の写真は、撮影する時間がなくて、映画「ザ・マジックアワー」の写真を使用しているんだって。これも番宣での裏話。

4月24日




映画「容疑者Xの献身」堤真一と松雪泰子

映画「容疑者Xの献身」を観ました。

 監督:西谷弘
 脚本:福田靖
 原作:東野圭吾
 出演:福山雅治、堤真一、柴咲コウ、松雪泰子、北村一輝
 公開:2008年10月


おもしろいとは聞いていたけど、実に面白い、おもしろかった〜。映画の完成度は完璧。“完全犯罪”ならぬ“完璧犯罪物語”を見せてもらった感じ。

最初に、誰が誰をどんな風に殺害したか、ちゃんと生々しく見せてくれるの。なのに、最後の最後で「え〜」と驚かせてくれるの。やられた。やられました。松雪と堤真一にやられました。最初から最後の最後まで、松雪と堤真一に感情移入していた私は、「アリバイ崩れないで〜」とそればかり考えながら見ていました。なので、湯川先生に真相を教えてもらったときは、騙された〜という思いでいっぱいに。勝手に思い込んでいるのは私だけど、その思い込みを利用された感じ、くぅ〜悔しい。

ラストは切なかったです。
堤真一も松雪泰子も演技が上手いのよ。

だから、ガリレオ先生(福山雅治)が取った行動は、親友としてどうなの?という思いが込みあげてきたけど、道義的にも物語的にもあれでよかったんだと思う。天才数学者(堤真一)が、完全犯罪の計算はできても、女心(松雪泰子の行動)の計算まではできなかったところが、物語としての切なさを高めていると思うので。

ガリレオシリーズは、福山雅治と柴咲コウが主役だけど、映画では、堤真一と松雪泰子が完全に主役を食ってました。堤真一のモテナイ君は不気味だったし、高飛車な役が似合う松雪泰子の母親役は女性らしくて、二人ともキラキラ光ってました。堤真一のモテナイ君を見て思ったのは、モテナイ男子達も努力で変われるんじゃないかと。やる気と努力で変われると思うよ。

これ、話を考えたのは東野圭吾なんですよね。
映画は原作通りなのかな?
原作の小説は直木賞に輝いた作品。すごいわ東野圭吾。

4月13日




映画「WALL・E」ずっとひとりぼっちだったから

映画「WALL・E」を観ました。

 監督:アンドリュー・スタントン
 脚本:アンドリュー・スタントン
 公開:2008年12月


どうしよう。
引きずってます。
ニモも、レミーも、モンスターズインクも、トイストーリーも、それなりに感動したけど、こんなことはなかった。

ウォーリーのあらすじなんて1分もあれば語れちゃうほど単純な話なのよ。なのに、何がそんなにいいのか自分でもわからない。

昨日は龍馬伝があった。毎週楽しみにしている。いつもは寝る前に見ているけど、昨日は見なかった。ウォーリーの世界にどっぷりはまっていたくて。このピュアな気持ちの中に幕末のドロドロを入れたくなくて。見たくなかった。私とウォーリーの間に入らないで〜という感じ。というのは大袈裟だけどそのくらいウォーリーラブになっちゃってます。

昨日も書いたけど、初見は前半部分が退屈だった。
でも、今は前半部分が気に入ってる。実はまた見てしまいました。
1度目も、2度目も、泣かなかったのに、3度目は泣いてしまい、
公式サイトで『ずっとひとりぼっちだったから、ずっといっしょにいたかった』の予告を見ただけで、泣けるようになった。
どんだけはまってんねん、と自分で突っ込みたくなる。呆れるやろ?

はぁ〜。なんなんだろう、この胸の痛さ。
恋愛なんて、もう長い間したことないし、人を好きになる瞬間がどんな感じだったのかすっかり忘れちゃったけど、ウォーリーがイブを好きになるところを見ちゃってから、人が人を好きになる瞬間をなんとなく思い出して、切ない。

ウォーリーとイブの間には、「好きだ」とか「愛してるよ」なんて言葉はない。「付き合って」なんて言葉ももちろんない。ただ、ただ、好きな人のために一生懸命なだけ。その一生懸命さがあれば好きは伝わる。言葉なんていらない。あ〜ん羨ましい。私って欲求不満なのかしら(笑)。思い出せば思い出すほど、胸きゅんすることを発見しちゃうよ。

本当は、後半部分もいろいろ書きたいことがあるの。
でも、ネタバレしたくないから我慢してます。
なので、後半部分をすっ飛ばしてエンドロールの感想。

ピクサー作品はエンドロールがいつも面白いけれど、ウォーリーのエンドロールも素晴らしかった。これから見る人に見て感じて欲しいので詳しくは書かないけど、最後の最後までメッセージがちゃんとあった。

国土交通省の研究によると、天ぷら油250ミリリットル(鍋半分)を捨てた水を、魚が住めるようなきれいな水にするには、49500リットルの水が必要になるそうだ。
つまり、汚すのは一瞬でも、元に戻すのは大変時間がかかる。
つまり、汚すのは簡単、戻すのは難しいのだ。

ウォーリーのエンドロールでは、それを美しく表現してくれてる。
たぶん、他にもいろんな仕掛けがあるんだろうな。

3月22日




映画「ウォーリー」キミはボクのタカラモノ

映画「WALL・E」を観ました。

 監督:アンドリュー・スタントン
 脚本:アンドリュー・スタントン
 公開:2008年12月


ウォーリーはファンタジー映画です。
だけど現代人への警告ともとれるメッセージもあり深いです。

でもね、映画の前半はセリフがほとんどなくて退屈でした。ウォーリーが一目惚れするイヴが登場する辺りから少しずつ面白くなってきたけど、それまでは何度も挫折しそうになりました。でも、見終わると、どっぷりウォーリーの世界にはまってしまい、恋がしたくなり、チャーミーグリーンがしたくなりました。

キャッチコピーは「キミは、ボクのタカラモノ」。
ウォーリーは宝物のために、ただ、ひたむきに、ただただ、ひたむきでした。

もう一度ウォーリに会いたくなり、もう一度見ました。不思議なことに退屈だった前半部分が全く違って見えたんです。この静けさがいい。静かだからこそ生きてくる。

二度目は気づくことがたくさんありました。細かいことに拘っているんだなぁと感動したし、友人のゴキブリ(ハル) を踏みつぶすところやウォーリが自分の身体を修理するところなど後半に繋がるところもいくつかありました。

いろんなことに気づくと、ウォーリーがますます愛しく思えました。

ウォーリーはかわいい。ウォーリーは優しい。一途で健気で見ていて癒される。なのに、なぜかウォーリーを思うと切ない気持ちになる。なんでこんなに切なくなるんだろう。なんか、胸の奥が痛くなる。人間が残していったごみを700年間もひとりぼっちで片付けていてくれたからなのかなぁ。ごみ箱を見るだけで申し訳なくなります。

ひとりぼっちは寂しかったよね。
ごめんよウォーリー。ありがとうウォーリー。

3月21日




映画「2012」日本人がアカデミー科学技術賞

映画「2012」を観ました。

 監督:ローランド・エメリッヒ
 脚本:ハラルド・クローサー
 出演:ジョン・キューザック
 公開:2009年11月


クローズアップ現代でアカデミー科学技術賞を受賞した坂口亮さんの特集がありました。坂口亮さんは、ハリウッドで活躍するVFX(特殊撮影映像)技術者で、映画『2012』の制作にも参加した人。

慶応大を卒業し、理系ではなく文系出身というから驚き。大学在学中にハリウッドのデジタルドメイン社の扉を叩き、インターンとして書類整理やお茶酌みからスタートしたそうです。文系だから数学や物理は中学レベルからやり直し、流体力学は独学で勉強したんだって。頑張りやさんです。

での仕事ぶりも見ました。大地震で町が崩壊するたった2秒間のシーンを3ヶ月かけて作ってました。実際にある町並みを丹念に調査し、木のゆれ方、葉っぱの落ち方、建物の曲がり方、紙くずの舞い方などをリアルに表現したそうです。

特集を見てたら、『2012』が観たくなり、づらっちも『2012』が面白いと言ってたので観てきました。(アドバイスは吹き替えがいいよ〜と・・・正解でした)



彼のこと以外は、全く予習することなく観ました。見終わった後、『インデペンデンス・デイに似てるわ〜』なんて思いながら、購入したパンフレットを見たら、同じ監督の作品でした。どうりで似ているわけだ。

映像はたしかにリアルで凄かったです。
そこまでやるか〜と笑っちゃうほど半端ない壊し方。しかし、長いから最後のほうは、もうええよ〜とちょっと食傷気味に。なのに、なのに、エンドロールはとっても淡泊で、座っているのが苦痛でした。灯りがつくとけっこう座っていた観客が誰もいなくて苦笑。みなさん疲れていたようです。

ストーリーは突っ込みどころ満載でした。
そんなあほな・・・と思うことが多々あり、退屈しませんでした。

最初、誰が誰だかわからなくて、主役は大統領の科学顧問エイドリアンだと信じて疑わなかったのですが、パンフレットで確認すると、バツイチの運転手&売れない小説家ジャクソンが主役でした。娘役のモーガン・リリーちゃんが可愛かったね。

ここから先は、ちょっとネタバレありの感想です。



ハッピーエンドじゃないけど、ハッピーエンドのようなラストに、
なんかなんかモヤモヤ。なんかスッキリしなかったです。

とくに、ジャクソン元妻の恋人(美容外科医)の最後。

あの最後は、あんまりだよん。
ジャクソンの雇い主で、若い愛人を見捨てる、腹黒いオジさまでさえ、
最後は息子のために命を落とし、名誉挽回しているのに、
あんなあっさりした最後ってあんまりじゃない?
飛行機操縦中は寂しそうだったし、あんなに働かせておいて、可哀想。
現実はあんなもんだとしても、せめて、せめて、
ロシア人パイロットのようにかっこよく旅立たせてあげて欲しかったです。

携帯電話の技術にもビックリ。
たしかに携帯技術の進歩には驚かされているけど、
地殻変動が起こっても繋がる携帯電話って。。2012年に期待。

もの足りなかったのが、大統領の演説シーン。
一番感動したシーンだったので、もっと聞きたかったです。
この映画は親子の別れのシーンがどれもよかったです。
ところで、大統領は黒人の役者さんが演じていましたが、
キャスティングされたのはオバマさんが候補者になる前らしいです。
監督の勘は冴えていたとパンフレットに書いてありました。

そのパンフレットに明治大学の越智道雄教授が、
人種的配置が逆転しているのが興味深いと書かれていたのですが、
私も、それについては気になりました。
どうしてそこで中国なのかロシアなのか私も知りたい。
中国は、中国での興行収入を意識したからかなぁなんて思いましたけど。

しかし、10億ユーロの搭乗券ってすごくない?
日本円だと1300億円くらいになりますよ。
いったい誰が払えるんだろう。世界は広いです。

1月24日




「ハッピーフライト」綾瀬はるかは天然キャラ

映画「ハッピーフライト」を観ました。

 監督:矢口史靖
 脚本:矢口史靖
 出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、寺島しのぶ、田畑智子
 公開:2008年11月


パッピーフライトって、何か技術的なフライトなのかと期待して鑑賞しましたが、映画を観ている人がハッピーな気持ちになれるそんなフライトみたいです。

緊張するところは緊張するし、笑えるところは笑えるし、でもクスクス笑える部分が圧倒的に多い映画なので後味がいいです。

同じ監督が撮った『スウィングガールズ』に比べたらもの足りなかったけど、たった1機の飛行機を飛ばすのに、こんなにたくさんのスタッフが携わっているなんて全く知らなかったので、色んな人の仕事ぶりを見て勉強になりました。

ただ、主役が誰かわからない(笑)。

もちろん「田辺誠一」が主役で彼の露出が一番多いんだけど、役者さんがそれぞれはまり役なので、出番が少なくてもみんなが主役って感じがして、いい意味で田辺誠一の存在が薄かったです。

寺島しのぶも、岸部一徳も、時任三郎もいい味出してました。とくに「田畑智子」がよかったです。田畑智子の後輩役「平岩紙」が、これまたいい。平岩紙。大人計画の子なんですね。かなり気に入ってしまいました。

そして、やっぱり綾瀬はるかはかわいい。天然キャラで明るい性格の役だったので、彼女にぴったりでした。彼女は暗い役よりも明るい役のほうが似合うし安心できます。

面白い映画でした。
これから飛行機を見目が変わりそうです。
もっと感謝しながら乗ろうと思います。

12月9日




映画「手紙」の感想(東野圭吾の原作小説)

映画「手紙」を観ました。

 監督:生野慈朗
 脚本:安倍照雄、清水友佳子
 監督:東野圭吾
 出演:山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ
 公開:2006年11月


泣きました。
よかったです。

《人 殺 しの弟》というレッテルを貼られ、差別され続ける弟の話なんだけど、中盤に出てくる会長さんの深い話あたりからウルウルしはじめ、ラストは玉山鉄二の涙で私も号泣。

沢尻エリカの存在もよかったけど、私は、弟(山田孝之)の友人役の存在が好き。山田君がどんなに差別されても腐らなかったのは、友人の存在が大きいと思いました。ただふたりの漫才は全く面白くなかったけど。でもちゃんと漫才に意味がありました。漫才だったからラストが深くなったように思います。でも原作は違うんだよね?

沢尻エリカの《手紙》ですが、同じ女として彼女の気持ちがよくわかります。もし私が彼女と同じ立場だったら同じ事をしただろうと思います。たとえ憎まれても好きだからできることだと思いました。でも、もし私が山田孝之の立場だったら「いらんことすんな!」と発狂しそうです。自分の事を思ってやった行動だと頭でわかっても許す自信がないです。私ってやっぱ小さい人間です。《許す》って難しいよ。

やっぱり犯罪はダメです。
たとえどんな理由があっても犯罪は犯しちゃいけないと強く思ったでした。犯罪で傷つくのは、被害者家族だけじゃなく、加害者家族も、そして、まだこの世に誕生してない人まで傷つけることになるんだよね。単純なストーリーだったけど深かったです。

10月17日




リチャードギア主演映画「HACHI約束の犬」

映画「HACHI約束の犬」を観ました。

 監督:ラッセ・ハルストレム
 脚本:スティーヴン・P・リンゼイ
 出演:リチャード・ギア、ジョアン・アレン
 公開:2009年8月


映画は、秋田犬のHACHIが、来る日も来る日もご主人のリチャードギア待ち続けるだけの話でしたが、HACHIの一途さに泣けました。

ペットロス〈最愛のペットを失い感じる喪失感〉は人間の感情ですが、ペットにも似たような感情はあるんですね。とくに犬は人間が大好きなので、喪失感は大きいと思います。

ハチ公が生きていた時代は、ご近所さんが一緒にハチ公を目で見守ってくれたけど、今は、野良犬がいたらすぐ保健所で処分されてしまう時代です。そう思うと、主人はペットより長生きして最後まで看取らないといけないなぁと思いました。

HACHIが死んでしまうシーンは切なかったです。でもHACHIの表情がとても穏やかだったので、やっと天国で会えるのね、とあったかい気持ちになりました。映画の撮影は3頭の秋田犬が、それぞれの性格に合わせて演じたそうです。犬の演技が自然でよかったです。

日本語吹き替え版、リチャードギアの声は、北大路欣也さんでした。ソフトバンクでは犬のお父さんです。なんかぴったり。私は字幕版を観たので、テレビ放送するときはチェックしたいです。



いつでも一緒♪ハチのおかえりストラップです。
「HACHI約束の犬」の前売り券についてました。

首輪の「八」がかわいいの。
でも、ちょっと大きくて、携帯に付けるのは躊躇ってます。

子どもの頃、秋田犬を飼っていました。だからハチ公にも思い入れがあります。
仲代達矢の「ハチ公物語」も泉ピン子の「伝説の秋田犬ハチ」も観ました。

うちの秋田犬も、賢くて強くて優しい犬でした。
私が姉になった頃、家族になりました。
留守がちな親に代わって、守ってくれました。
甘えることが苦手な私にとって、何でも話せる話し相手でした。
犬は、飼い主の目のつかないところで死にたがるそうです。
うちの秋田犬も、ずっと寝ていたのに、どこにそんな力があるのか、
最後は、最後の力を振り絞って立ち上がり、何処かに行こうとしてました。
今、思い出しても泣けてきます。また会いたいです。

イギリスの諺に「子供が生まれたら犬を飼いなさい」 という言葉があり、
これが素敵な諺なので、ここに書いておきます(^^)。

子供が生まれたら犬を飼いなさい。
子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう。
子供が幼年期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。
子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう。
そして子供が青年になった時、
自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。

9月27日




北乃きい初主演「幸福な食卓」原作瀬尾まいこ

映画「幸福な食卓」を観ました。

 監督:小松隆志
 原作:瀬尾まいこ
 脚本:長谷川康夫
 出演:北乃きい、勝地涼、平岡祐太、さくら、羽場裕一、石田ゆり子
 公開:2007年1月


高校生の北乃きいちゃんの初主演映画です。私のお目当ては、北乃きいではなく原作者の瀬尾まいこなんですけどね。

悲しくて、せつなくて、あんまりな展開だったのに、見終わった後の爽やかな気持ちは、彼女の小説と同じでした。映画では、音楽(ミスチルのくるみ)が流れるので、さらに爽やかさな気持ちにしてくれました。

何の番組だったか思い出せないのですが、北乃きいちゃんのお父さんは39歳なんだそうです。今、きいちゃんは救命病棟で看護師役をしていますが、救命病棟で共演中の江口君より若いお父さんです。さらに驚くのは、18歳も離れた1歳の弟がいるそうです。一緒に並んで歩くと、お父さんは恋人に、弟は息子に、間違えられたり勘違いされて、ちょっと困っていました。

瀬尾まいこは、偏見を壊すのがとても上手な作家です。
幸福の食卓では、父親が父親を辞めるところから始まります。
親としての責任を放棄したともとれる言動です。
しかし、彼女が書くと、そんなことは大した問題ではなくなるのです。
だから、きっと彼女が、北乃きいちゃんの家族のことを表現すれば、きいちゃんの39歳のパパも1歳の弟も驚くことではなく、よそと変わらない普通のことになるんだろうなぁと思います。

さて、映画の感想ですが、映画は真っ黒な画面からスタートしました。
黒い画面の奥から、卵を割り、カシャカシャと卵をかきまぜる音が聞こえてきます。瀬尾まいこの小説には、必ず食べ物の話が出てくるので、もうこの音だけで、「瀬尾ワールドだぁ」とお腹が減ってきました。

以前、摩子ちゃんに瀬尾まいこの小説を薦めました。最初に薦めたのは、この「幸福の食卓」でした。すぐ小説を読んでくれた摩子ちゃんは、小説の中に出てくる「生クリーム蕎麦」に驚いていましたが、映画の中でも、ちゃんと生クリーム蕎麦が出てました。

写真は、長野で買った「そばパスタ」です。
モンドセレクションで金賞を受賞したそうです。
生クリームで和えてみましたがまあまあ美味しかったです。



北乃きいちゃんは、イメージ通りの主人公でした。450人が参加したオーデションで選ばれたそうが、中原佐和子はこんな風に笑うんだと思ったくらいピッタリでした。主人公の恋人である大浦勉学役の勝地涼くんもよかったです。

「すごいだろ?気付かないところで、中原っていろいろ守られてるって事」
胸がきゅんとした彼のセリフです。

残念だったのは、小林ヨシコ。
大好きなキャラなので、私の目は厳しくなります。
私の中のイメージは、さくらよりも木下優樹菜なのです。

8月26日




いつも青春は時をかける「時をかける少女」

アニメ映画「時をかける少女」を観ました。

 監督:細田守
 脚本:奥寺佐渡子
 出演:仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵、谷村美月
 公開:2006年7月


ガッキーの「恋空」を観てがっかりした私にえりなちゃんが薦めてくれた映画です。えりなちゃんが言ってたとおりおもしろかったです\(^o^)/

前半は、あっち行ったり、こっち行ったりで、愉快でしたが、後半は、ハラハラしたり、切なくなったり、考えさせられたり、恋空の何倍も主人公に共感できました。

スカートの丈は短かったけど(私が学生の頃は長かった)、携帯電話を使っていたけど(私が学生の頃は存在しなかった)、「いつも青春は時をかける!」のキャッチフレーズ通り、いつの間にか気分は17才の女子高校生に。

出来事には結果がすぐわかる事と、後になってわかる事があります。全ての出来事に意味はあるんだと思います。でも、私は、やり直したいことでいっぱいです。戻れるものなら、あの時に戻って、あの時のの自分に、いろいろ教えてあげたい。その選択は間違ってる!その手を離しちゃだめ!と。

だから、私も「タイムリープ」を使ってみたいです。でも、たぶん、何回人生をやり直しても、違う選択を選んだとしても、後悔するときは後悔するという事も映画から感じました。

アニメ版は、原田知世の映画のリメイクだと思っていましたが、原作小説の映画化でもなく、映画から約20年たった設定でした。そして、主人公の叔母は、原田知世が演じた芳山和子だという事を見終わった後に知り、叔母さんを意識してなかったので、ちょっと後悔。「タイムリープ」してもう一度観たいです。笑。

8月12日




映画「劔岳 点の記」の美しい映像に感動

映画「劔岳 点の記」を観ました。

 監督:木村大作
 原作:新田次郎
 脚本:木村大作
 出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、宮崎あおい
 公開:2009年6月


映画館で美しい映像を堪能してきました。

「劔岳 点の記」は、日本地図を完成させるために山に登った男達の話です。どちらかと言うと、映画の内容はあまり期待してなかったのですが、ところがどっこい、話の内容もよかったです。「厳しい中にしか美しさはない」というメッセージもちゃんとありました。

実話だからなのか、CGや空撮など一切使ってないからなのか、本当に山に登って演技したからなのか、200日以上もかけて撮影したからなのか、音楽が生演奏だったからなのか、美しい映像に嘘が全く感じられませんでした。

静かにただ黙々と仕事をする男達のひたむきな姿に心打たれました。

浅野忠信が出ている作品は、この映画が始めて。
彼がこんなにかっこいい人だとは知らなくてうっとりです。
サザエさんのCMのカツオとは別人でした。
宮崎あおいとの夫婦役も良い感じで絵になってました。

そしてなんと言っても香川照之がいい。
最近の彼はどんな役をしても裏切りません。
また彼の役が、地位も名誉も関係なく働く職人さんだったから、役者という仕事が好きでたまらない彼の姿と重なりました。浅野忠信と香川照之のツーショットは渋かったです。



映画のパンフレットには、撮影秘話や明治時代の史実や測量の手順や原作者の新田次郎さんの息子である藤原正彦氏の話なども載っていて、(藤原正彦氏は「国家の品格」などの著作がある数学者)職人の職人による職人の映画だということがよくわかり、もう一度映画館で観て、新しい発見をしたくなりました。

東京ディズニーランドの トゥモローランドに、360度どの方向からも映像が楽しめる「ビジョナリアム」という円筒形スクリーンがあったんだけど、『劔岳 点の記』の映像は、ぜひ360度円筒形スクリーンで観てみたいです。

7月30日




映画『ハゲタカ』を観ました。赤いハゲタカ

映画「ハゲタカ」を観ました。

 監督:大友啓史
 原作:真山仁
 脚本:林宏司
 出演:大森南朋、栗山千明、松田龍平、高良健吾、玉山鉄二、柴田恭兵
 公開:2009年6月


映画は、テレビドラマと比べるとつまらなかったです。ドラマが良かったから、どうしても比べてしまいます。テレビ版が100点としたら、映画は60点くらいかな。

リーマンショックの影響で、脚本を8割近く書き換えたそうですが、時流にあわせようとする部分と過去(テレビ版)にこだわる部分が、どちらも中途半端な感じがして・・・残念に感じました。

あと音楽がやたら大袈裟だった気がします。
いい音楽なんだけど、内容と音楽があってないというか。「ここでこの音楽ですか〜」とひいてしまう場面もあり、でも、最後に「ROAD TO REBIRTH」が流れたときは、「あ〜ハゲタカだなぁ」としみじみしました。

スタジオパークで、大森南朋くんは役作りのため、餃子とチャーハンを食べて太ったと語っていたけど、太ったほうが貫禄ありますね。彼は柴田恭兵と同じで美男子ではないけどかっこいいと思う。玉山鉄二くんは美男子。アップになるとうっとりです。

あと、派遣社員の役を『高良健吾』という役者さんが出てました。彼のことは知らなかったけど、ごくせんに出ていた男優さんで、「ソラニン」で宮崎あおいちゃんの恋人役をする男優さんなんですね。

6月17日




映画「おっぱいバレー」感想!実話のオッパイ

映画「おっぱいバレー」を観ました。

 監督:羽住英一郎
 原作:水野宗徳
 脚本:岡田惠和
 出演:綾瀬はるか、木村遼希、高橋賢人、青木崇高、仲村トオル
 公開:2009年4月


綾瀬はるかちゃんが可愛かったです。

映画のチケットを買うのが恥ずかしい人もいるらしいけど、ちゃんと「おっぱいバレーください」と言ってチケットを買いましたよ。パンフレットを買うときも「おっぱいバレーください」とちゃんと言ってきました。とくに問題なく買えました。問題あっても困るけど。

タイトルを言うのが恥ずかしい人のために、略語「OPV」が通じるようになっているそうです。でも「OPV」と言ってチケットを買うと、恥ずかしいことも一緒に告白することになり、よけい恥ずかしくなるような気がしますが(笑)。

おっぱいバレーのパンフレットは、学生らしく、表紙は「おっぱいバレー練習帳」になってました。シンプルなノートのデザインだけど、中はカラフルで明るくて昭和ちっくです。


映画は、ものすごぉぉぉぉぉぉぉぉぉい、くだらない映画でした。
でも、見終わった後、あったか〜い気持ちになります。
そして「ナイスオッパイ!」と言いたくなります。
やっぱりオッパイはすごいなぁ。人を丸くさせる力を持っています。

ただ、時代背景が1979年の設定だから、
若い人は、このくだらなさがわからないかもしれない。
インターネットやコンビニで簡単にエロが見られる世代には、
おっぱいを見るためなら何でもできちゃう男子に違和感を感じるかも。
いちばん楽しめる世代はやっぱり40代の男子なのかなぁ。
きっと懐かしい気持ちになられるでありましょう。


公式サイトを見ると、ブログパーツがありました。
おもしろいので私もブログに貼り付けてみます。
スタートボタンを押すと予告が見られるようになってます。すごい。


おっぱいバレーの原作は水野宗徳さんの小説。
簡単にストーリーを説明すると、綾瀬はるかが演じる新任教師が、
全くやる気のないダメダメ男子バレー部の顧問になり、
「試合に勝ったらオッパイを見せる」という約束をする物語。

生徒に「おっぱい見せてあげる」なんて約束する先生がいるなんて、
嘘みたいな話だけど、実話をもとに作られているそうです。
それを知ってみると、また味わいが深くなる映画です。
動機はどうあれ、目的に向かって頑張る男子は、カッコイイです。
最後の最後は、泣かせてもらいました。

綾瀬はるかちゃん、ナイスオッパイ!

4月26日




宮崎あおい映画「初恋」三億円事件の犯人

映画「初恋」を観ました。
主演は宮崎あおい。10代最後の作品です。

1968年12月10日に起こった府中三億円強奪事件が題材。原作は中原みすずの小説「初恋」です。

府中三億円強奪事件は、誰が犯人なのか未だわからず謎の多い事件。40年前の3億円は、今の30億円相当の価値があると言われていますが、犯人は盗んだお金を未だに一円も使っていません。

「初恋」はそんな中で生まれた作品です。
実行犯である白バイ男は女子高生だったという設定で、その犯人役を演じたのが、宮崎あおいでした。

最初の30分は暗くて退屈でした。
早送りして観たくなったけどぐっと我満。

主人公みすず役の宮崎あおいが不良のたまり場になっている新宿のジャズ喫茶に通う理由が理解できた辺りから面白くなり、岸役の小出恵介に恋をする辺りから引き込まれていきました。

劇中、宮崎あおいが3億円を強奪するシーンはとてもリアルです。宮崎あおい自身も犯人役を演じていて、「私はこの物語を、実話だと思っています。真実だからこそ、みすず、この役を大好きになりました」と行ってましたが、私も彼女が犯人に思えてきました。そして、悲しいかな、彼女の目線で見ているので、いつの間にか彼女の成功を祈っている自分がいます。悲しい。

映画のタイトルは、「初恋」なので、恋愛映画でもあります。
小嶺麗奈が脱いでいてエッチなシーンもあるけれど、宮崎あおいの恋はとってもピュアで彼女らしいです。

孤独な女の子が最も弱いであろう言葉で彼女は落とされます。
好きな人から一番されたいご褒美で彼女は笑顔になります。
その時の宮崎あおいの表情は絶品です。


宮崎あおいのお兄さん役が本物のお兄さん(宮崎将)でした。
とってもハンサムなのでびっくりしました。
流星の絆に出ていた柄本明の息子(柄本佑)も出演してました。

事件が起こった1968年は学園紛争が盛んな時期。
その様子も映画の中で描かれています。
「最近の若者は・・・」なんてどの口が言ってるんだ!
と言いたくなるくらい若者達(団塊世代)は不良でした。

映画の内容とは関係ないんだけど、3億円事件の正確な被害金額は2億9430万7500円。「憎しみのない強盗」と語呂合わせができるそうです。これがまたドラマをうむようです。誰一人傷つけず、一円も損をさせず、三億円の現金を奪ったと英雄視する人もいますが、モンタージュ写真に似ていた男性は、誤認逮捕され、釈放後は職を失い、今年9月に自殺しました。かかった捜査費用は約10億円と言われています。これだけのお金がこの事件に使われたのは事実です。

誰も傷つけず損をさせない事件なんてありません。
だから、宮崎あおいの完全犯罪を応援していた自分が悲しいのです。

12月22日



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