宮崎あおい映画「初恋」三億円事件の犯人
映画「初恋」を観ました。 主演は宮崎あおい。10代最後の作品です。
1968年12月10日に起こった府中三億円強奪事件が題材。原作は中原みすずの小説「初恋」です。
府中三億円強奪事件は、誰が犯人なのか未だわからず謎の多い事件。40年前の3億円は、今の30億円相当の価値があると言われていますが、犯人は盗んだお金を未だに一円も使っていません。
「初恋」はそんな中で生まれた作品です。 実行犯である白バイ男は女子高生だったという設定で、その犯人役を演じたのが、宮崎あおいでした。
最初の30分は暗くて退屈でした。 早送りして観たくなったけどぐっと我満。
主人公みすず役の宮崎あおいが不良のたまり場になっている新宿のジャズ喫茶に通う理由が理解できた辺りから面白くなり、岸役の小出恵介に恋をする辺りから引き込まれていきました。
劇中、宮崎あおいが3億円を強奪するシーンはとてもリアルです。宮崎あおい自身も犯人役を演じていて、「私はこの物語を、実話だと思っています。真実だからこそ、みすず、この役を大好きになりました」と行ってましたが、私も彼女が犯人に思えてきました。そして、悲しいかな、彼女の目線で見ているので、いつの間にか彼女の成功を祈っている自分がいます。悲しい。
映画のタイトルは、「初恋」なので、恋愛映画でもあります。 小嶺麗奈が脱いでいてエッチなシーンもあるけれど、宮崎あおいの恋はとってもピュアで彼女らしいです。
孤独な女の子が最も弱いであろう言葉で彼女は落とされます。 好きな人から一番されたいご褒美で彼女は笑顔になります。 その時の宮崎あおいの表情は絶品です。
宮崎あおいのお兄さん役が本物のお兄さん(宮崎将)でした。 とってもハンサムなのでびっくりしました。 流星の絆に出ていた柄本明の息子(柄本佑)も出演してました。
事件が起こった1968年は学園紛争が盛んな時期。 その様子も映画の中で描かれています。 「最近の若者は・・・」なんてどの口が言ってるんだ! と言いたくなるくらい若者達(団塊世代)は不良でした。
映画の内容とは関係ないんだけど、3億円事件の正確な被害金額は2億9430万7500円。「憎しみのない強盗」と語呂合わせができるそうです。これがまたドラマをうむようです。誰一人傷つけず、一円も損をさせず、三億円の現金を奪ったと英雄視する人もいますが、モンタージュ写真に似ていた男性は、誤認逮捕され、釈放後は職を失い、今年9月に自殺しました。かかった捜査費用は約10億円と言われています。これだけのお金がこの事件に使われたのは事実です。
誰も傷つけず損をさせない事件なんてありません。 だから、宮崎あおいの完全犯罪を応援していた自分が悲しいのです。
ちょっぴりネタバレあり映画レビュー
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