脚本家「田渕久美子」夫の死と篤姫最終回
篤姫は来週がいよいよ最終回。 1年間、見続けていると、かなり情も湧いているので寂しいです。
篤姫の脚本を書かれた田渕久美子さんが、 朝日新聞にコラムを連載していました。 これまた日曜日が最終回でした。要約すると。
「篤姫」は、原作はあるものの、 ほとんどの部分を創作しなければならなかったので、 作家としての資質を必要とされた作品でした。
「篤姫」全50話を作り、書ききるという長い長い道のり。 ドラマを書くことをお受けしてから、3年という時が流れました。
その間に私の身の上にも様々な変化がありました。 まず、この間に私は再婚し、2人の子供との3人の暮らしから、 夫のいる新しい家族をつくることができました。 これはとても幸せなことで、 豊かで落ち着いた日々の中で仕事に向かうことができました。
しかし、ドラマの書きが半分を過ぎたころでしょうか。 夫を病が襲いました。 末期のがんでした。 苦しい中、それでも仕事を続ける夫に逆に励まされながら、 私も「篤姫」を書き続けました。 そして、ついに最終話を書き終えたその2ヶ月後、 夫は帰らぬ人となりました。
「篤姫」はそんな中で生まれた作品です。 私が「愛」に、登場人物たちの「生きざま」に、そして「家族」にこだわった、 その作品が、多くの方たちに愛されたこと、それはなによりの救いです。
田淵久美子さんのコラムを読んだ後だったから 一昨日の篤姫(49話・明治前夜の再会)の 篤姫と小松帯刀との最後のシーンは感動的なシーンでした。
「実は、私は、あなたをお慕いしていたのです」 「知っていました」 「えぇぇ」 「ジョン万次郎さんから聞きました」 「驚きました。では、それを承知の上でお聞きします」 「はい」 「もし斉彬様からの養女のお話が無かったら、私と一緒になって下さいましたか?」 「それを聞いてどうなさるのですか?」 「私のあの頃の気持ちに、けりを付けてやりたいのです」 「私の答えは・・・・・・」 「お答えは?」 「亡き夫、家定に相談致します」 「あっ、ずるいなぁ〜、それは・・・」
「亡き夫」というセリフに込められた田淵さんの思いが、 とても重たく、とても強く、伝わってきました。
宮崎あおいちゃん自身も、この瑛太君とのシーンは、 「お芝居をしていて本当に感動した」 とインタビューで語っていたけど、心に残る思い出語りです。
瑛太君の「ずるいなぁ〜」は色気がありすぎ。 瑛太君はこのセリフ言いたくなかったと言ってたけど、 わたしはメロメロですよ(笑) ずるいわぁ。
回想シーンのふたりを見ていると、撮影は1年間なのに、 ほんとに何十年も経っているように見える成長ぶり。 技術も凄いけど、ふたりの演技力もすごいと思いました。
ふと、思い出したのは、一時期話題になった泰葉さん。 「あなたにはもう篤姫を語る資格はありません」 などと田淵久美子さんをブログで罵っていたことがあったけど、 ご主人(岡島瑞徳先生)が亡くなられている時期と重なるんですね。 知らなかったとしても、泰葉さんは罪な人です。 つらいのは自分だけじゃないのに。無知というのは恐い。 田渕さんもあの頃はずいぶん辛かったんだろうなぁと思います。
そういえば、橋田壽賀子先生も、 大河ドラマ「春日局」の執筆中に、ご主人を癌で亡くされたそうです。 大奥の基礎を作った「春日局」と大奥の最期を見届けた「篤姫」。 偶然とはいえ、同じ悲しみが脚本家に訪れると不思議なものを感じます。
最終回のタイトルは「一本の道」。 自分に課せられた役割は責任を持って全うする。 篤姫が、この大河ドラマが、一貫して伝えたかったことですね。
篤姫さんも素晴らしい人でしたが、 篤姫のドラマに関わった人達も素晴らしい。 素敵なドラマを見せてもらって、感謝の気持ちで一杯です。 って、まだ終わってないけどね。 来週の最終回は、70分スペシャル拡大版です。 録画のセット時間を変更しておかなければなりません。 すごく楽しみだけど、すごく寂しいです。
【追記】 2011年の大河ドラマは「江 〜姫たちの戦国〜」に決定! 田渕久美子さんのオリジナル脚本だそうです。 主人公は徳川二代将軍秀忠の正室「江(ごう)」。 主役の江は上野樹里ちゃんが演じる予定。
【追記】 田渕久美子 毎日が大河 田渕久美子さんがWebマガジン幻冬舎で書かれているブログ。 今、放送中の「江〜姫たちの戦国〜」の話も書かれています。
大河ドラマ「篤姫」の感想
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