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偽善エコロジーの感想エコが地球を破壊?

幻冬舎から出ている『偽善エコロジー』を読みました。
サブタイトルは、“「環境生活」が地球を破壊する”。

 レジ袋を使わないマイバック運動も、
 割り箸を使わないマイ箸運動も、
 石油を使わないバイオエタノールの推進も、
 みんな、ただのエゴだ!と説明。

だからといって無駄に使っていいと浪費を推奨しているわけではなく、
リサイクルよりも、物を大切に、人に優しくなることが大切だと主張。
それを科学者らしく、データを使ってわかりやすく説明してくれています。

たとえば、リサイクルするために集められているペットボトル。
このペットボトルを回収するのに、自治体は、
日本国民の税金を1キロ当たり405円も使っています。
しかし、回収したペットボトルは、ほとんどリサイクルされず、
現実は、中国に40〜50円で売り渡しています。
405円で仕入れた物を50円で売る商売など考えられないのですが、
50円で売れたことを儲かったと喜んでいる自治体があるそうです。

もともと捨てるはずだった物が売れたのだから、
儲かったと喜ぶ心理もわからなくはないけれど、
そのために使われた税金は無駄じゃないかと言われれば、
間違いなく無駄であり、もっと他のことに使っておくれよ、と私も言いたくなります。

こんな感じで、最近のエコ運動は、“強い者の味方”で、
企業の金儲けと環境省の利権にまみれている、と仰っていて、
先生の主張を読んでいると、結局は、心の問題なんだと痛感しました。



毎日、食べているご飯。
お茶碗を使って食べています。
食後、そのお茶碗を毎回割ってリサイクルに出す人は、おそらく一人もいない。
しかし、ペットボトルは一度使ったら、そのままリサイクル箱に入れてしまう。
その違いはいったい何なのか?

かつてお茶碗職人の人は、それほどお金持ちではありませんでした。
自分の家に小さな工場を持ち、細々とお茶碗を作っていました。
自分で作ったお茶碗を我が子のように「大切に使ってください」と売ってました。
買った人もそれを感じて、その茶碗が安かろうと高かろうと、
作ってくれた方への感謝、自然からの恵みに感謝して、
そのお茶碗を大切に使っていました。

お茶碗を1回1回割ってリサイクルに出してくれれば、
売れる量が増えて、茶碗を作る職人さんも裕福な生活ができるでしょう。
しかし、本物の職人には、儲けることよりも、
物づくりの魂や自らの職業への忠誠心が上位にあります。


ペットボトルを作っているメーカーの社長さんは、大企業の社長さんです。
おそらく年収は数千万円で、裕福な生活をしているでしょう。
しかし、その社長さんは、「もの作りの心」を持っていないので、
何とかしてペットボトルを多く売ろうとします。
落としても割れない丈夫なペットボトルを
何とかして早く捨ててもらおうと策略を練るのです。

リサイクルが始まる前のペットボトルの生産量は、年間15万トンでした。
しかし、リサイクルが開始されると、生産量は年間55万トンに。
その55万トンのほとんどは、リサイクルされたペットボトルではなく、
石油から新しく作られたペットボトルです。

と多少割愛したけど、こんな感じで最近のエコ活動を語りながら、
生産者の人間には、「もの作りの心」を
消費者の側には、「ものに感謝する心」を

そして、役所には、「偽善」を教えてくれる一冊でありました。

そうかなぁと思う部分もありましたが勉強になりました。
人に優しく、自然に感謝して、物を大切にしていこうと思います。

ちょっぴりネタバレあり本の感想


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