吉田屋旅館を廃業危機から救った山根多恵
山根多恵さんの「週末は若女将」を読みました。
彼女は、24歳の時、島根県の高齢化が進む町で、 後継者難で廃業の危機にあった老舗旅館の若女将になり、 数々の旅館改革を進め見事に旅館を立て直し、 2006年に女性起業大賞で特別賞を受賞しました。
1300年の歴史がある由緒ある湯治場で、 世襲制が慣例の旅館業をよそ者の彼女が、 旅館業のノウハウなど全くない彼女が、 半年も経たずに1年の売上を達成し、 1年後には前年の2.4倍もの収益を上げます。
彼女が実行した旅館改革がこれまた斬新でユニークなのです。 ●週休4日制の旅館 (営業は金土日の3日間) ●休日は地域貢献活動 (遊休農地で農業→作った野菜は料理に活用) ●旅館にひいていた温泉を閉める (近所の元湯の無料チケット配布)
旅館のコンセプトは「元気になれる旅館」。 効率を重視しながらもおもてなしの心は徹底していきます。
新聞で取り上げられていたので存在は知っていたのですが、 みのもんたのサタズバで彼女の特集を見て、 記事以上にしっかりしている彼女にビックリしました。 政治家のように日本の将来のことを考えていて、 話し方も人を惹きつける力強さがあり、 大学卒業したばかりの娘さんの器とは思えない行動力。しかも美人。 いったい彼女の後ろには誰がいるんだ?と気になり彼女の本を読んでみました。
読んでみると、本の半分は旅館の話ではなく、彼女の波瀾万丈物語。
大学受験に失敗し、希望した大学ではなく、地元の国立大学に通うのですが、 大学に行く意味がわからなくなり、学校に行かなくなり、 遊びまくり、遊ぶために必要な金欲しさに居酒屋のバイトをはじめ、 昼夜逆転の生活をし、ますます情緒不安定になり、 何かにつけて親や友達のせいにし、そんな自分も嫌になり、 人に会うのも起き上がるのも面倒くさくなり、引き篭もるようになります。
全てにおいて100%じゃないと許せない彼女の性格が 自分をどんどん追い込んでいきます。 そんな彼女が変わるきっかけになったのが、『感謝』でありました。
あまりばらすのも失礼になるので詳しく書かないけれど、 自分がこんなになったのは親が悪いんだと両親を責めていた彼女が、 母親に「ありがとう」と心から言えた時から彼女は丸くなっていきます。 感謝できない人は不満が多くなるというのは、やっぱり本当なんだなと思いました。
そこから全てが順調に運んだわけではなかったけれど、 何があって逃げない彼女に成長していました。 常に100%の結果を求めていた彼女が現状に満足できなくても頑張ります。 人と関わることから逃げていた彼女が「人は財産」だと出会いを大切にします。 変われば変わるもんだと驚かされました。
ちなみに、気になっていた彼女のバックにいる人。やっぱりいました。 市川房枝さんや菅直人氏の選挙参謀(CHANGEでいう阿部寛)を務めていた人でした。 バックにいるというよりその人からたくさん影響を受けたみたいですが、 私には山根多恵さんという宝石を見つけたことのほうが羨ましくなりました。 そのくらい魅力的な彼女の奮闘記でありました。 最後に彼女の言葉を紹介して終わります。
「期待半分、裏切り半分」 それくらいがちょうどいいんです。 期待しすぎると、挙げ句に疲れ果て、続かなくなってしまう。 それではどうしようもないから、自分にも人にも100%期待しない。
ちょっぴりネタバレあり本の感想
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