追記
【アイシテル海容の原作を読んだ感想】
アイシテルの原作漫画は、時間にすると6年間のお話でした。
時系列にすると、(事件発生)→(捜査)→(1ヶ月後に逮捕)
→(警察から児童相談所)→(両親と面会)→(家裁送致)
→(少年鑑別所)→(家裁調査官による調査開始)
→(加害者から被害者家族へ手紙で謝罪) ここで前編終了。
後編は、(加害少年の傷 = いたずらされた過去)
→(事件当日)→(犯行の動機発覚)→(謝罪)→(海容)
→(そして6年後の加害者家族と被害者家族)
前編と後編の2巻なのに、実にうまくまとめられていました。
そして、重い重い事件なのに、後味が悪くないのがよかったです。
現実も、漫画のように運ぶといいのに、と思うようなラストでした。
ドラマの第1話は、前編の半分くらい進んでいたのにぴっくり。
そして加害者夫婦は、ドラマよりももっと自己中で勝手な親達で、
キヨタンを殺した加害少年は、ドラマよりも大人びて冷徹でした。
小学生だけど第二反抗期に突入している感じです。
ただ、少年がキヨタンを殺した理由は、悪く言えば幼稚なんだけど、
良く言えば、子どもらしくて、母親にはたまらなく切ない動機でした。
また、少年の心が歪んでしまった過去が、あまりにも腹立たしい。
痛みというのは、どのくらい痛いかは、結局のところ本人にしかわかりません。
でも、心が痛んだ時、その痛みを理解してくれる人が、ひとりでもいてくれたら、
たったひとりでもいいからわかってくれる人がいたら、すごく救われるものです。
それがこのアイシテルでは、加害者の母親と被害者の母親でした。
立場は反対だったけど、一番、互いの気持ちが解り合えたふたりでした。
【海容】という言葉には、海のように広い寛容な心で、
相手の過ちや無礼などを許すことという意味があります。
許すって本当に難しいことです。
許すためには、まず現実を受けとめ、
理解することが必要なんだと思わされる漫画でした。
でも、親子って難しいね。
親は、自分のやりたいことを我慢して、
子どもにしてあげたことは、よく覚えているのに、
出来てないことは自覚もしてない。
一方、子どもは、やってもらってない事ばかり覚えていて、
かけられた愛情は全て当たり前だと忘れてしまう。
このすれ違いが不満になり、親子の距離を作ってしまう。
埋めるのは、やっぱり日々の積み重ねなんだと思う。
生活のためには仕事や勉強はもちろん大事だけど、
親子や夫婦が心を通わせる時間はもっと大事で、
家族が揃ってお喋りする時間は大切しなくちゃと思いました。