不毛地帯の最終回「石油の一滴は血の一滴」
不毛地帯が終わった。
テレビ業界は制作費が削減傾向にあるので、不毛地帯のような豪華作品はしばらく見られないかと思うと寂しい。しかも、最終回は駆け足で終わった感があり非常にもったいなく思っている。
唐沢寿明の演技はもちろんだが、最終回での原田芳雄の演技は素晴らしかった。老いぼれてしまった原田芳雄と回想シーンで流れた若かりし頃の原田芳雄が対比されたとき、原田芳雄の老いぼれ方がハッキリわかり驚いた。メイクの力もあるだろうがそれ以上に役者魂を感じた。
不毛地帯はモデルがある作品なので、どうしても脚色部分が嘘くさく感じてしまう。 壹岐正のモデルである瀬島龍三は、社長になったし会長になった。奥様とは70年も連れ添った。しかも奥様が亡くなった3ヶ月後に後を追うように亡くなられていて、ある意味ドラマよりも感動する。また、不毛地帯では描かれなかった瀬島龍三の活躍が、映画「沈まぬ太陽」で描かれているが、中曽根元首相のブレーンとして活躍した頃の話も見てみたかった。
不毛地帯ではいろんな対立があった。《唐沢寿明と遠藤憲一》の対立がメインだったかもしれないが、私は《唐沢寿明と岸部一徳》の対立が面白かった。岸部一徳は悪役に徹していたが嫌いじゃない。彼は彼なりに会社を愛していたし、唐沢寿明への嫉妬心も理解できる。岸部一徳の存在を白い巨塔の江口洋介のように描いていたら、もう少し面白かったのではないかと思う。その時は役所広司で見てみたいが、それでは大和ハウスか。
一番感動したのは、壹岐正の石油への思いである。 石油の一滴は血の一滴。 二度と石油のために戦争したくないという強い思い。
日本が、戦後の焼け野原から短期間で復興できたのは、戦争で負けた悔しさがバネになったんだと思う。だけど、それ以上に戦争で失った多くの仲間達への強い思いがあったからなんだと不毛地帯を通して再確認した。
シベリアの墓標へ向かうラストシーンは泣けました。
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