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山本文緒の日記エッセイ「再婚生活」の感想

山本文緒の再婚生活。

普段あまり小説を読まない私がたまに小説を読み、それが面白い小説だったとき、その人の小説ばかり読んでしまう癖があるのですが、山本文緒さんは私が夢中になった作家のひとりです。

最初に読んだ本は『ブルーもしくはブルー』。その後、彼女の小説はコバルト時代の小説も含め今読める本は全て読んでしまい、エッセイも読みました。

新刊を待望していたのですがずっと出版されなくて、私の熱病が冷めた頃に『再婚生活』が出版されました。

再婚生活というタイトルなので、ラブラブな日記エッセイを想像してたんだけど、中身は闘病日記でした。私が新刊を待望している間、山本文緒さんは重度のうつ病を患い入退院を繰り返していました。40歳で書き始めたこの一冊も書き終えたときは44歳。時間の長さが病気の重さを感じさせます。


◎9月15日
恵まれすぎだというふうなことを言われて「そうか、人にはそう見えるんだろうな。実際そうだしな」とは私も思った。
◎12月23日
食事にも気をつけるよ。お酒もほどほどにするよ。できたら煙草もやめるよ。今のんでる薬も減らすように頑張るよ。ほんとにごめんよ、私の体。
◎2月18日
健常者とうつ病患者の間に流れる、深い沈黙。前者は呆れ、後者は混乱。不安時の薬をもらってバクバクしたまま眠った。
◎8月8日
仕事上のいろいろなストレスや引っ越しや再婚で、感情のバランスが狂ったのだと思っていたけれど、そうじゃなかったと最近しみじみ思う。だいたいその「外から攻撃された」という被害者意識がまずいけなかった。
◎8月17日
最後まで原稿を書き上げたご褒美に、王子が鶏の唐揚げを買ってきてくれた。久しぶりでめちゃくちゃ嬉しい。おいしいものはなんで体に悪いのだ?


素直な気持ちを書きながらも、客観的な目で自分を観察し淡々と書いているので、悲痛な感じはしないんだけど、さすがに長期に渡って日記を休む前は、リタリン依存になるほど病状が悪化し、病気の苦しさや辛さが伝わってきました。

山本文緒さんは夫のことを「王子」と呼びます。王子と文緒さんは衝突することもあるけれど、彼は優しいです。めちゃくちゃいい人。もちろん彼女の目を通しての彼だけど、朝ごはんを作り、妻の弁当を作り、懸命に妻を支える姿は健気なのです。


◎10月18日
一人になるのは淋しいが、一人になるのは楽でもある。
◎11月17日
私が寝たあとに仕事から帰ってきて、あんまり寝てないはずの王子に起こされて起きる。そして王子の作った朝食を食べる。きっと罰が当たる。
◎11月27日
夫婦がうまくいかなくなるのは何故だろう。どうしてお互い歩み寄れないのだろう。なんで人間は自分の我を通したいのだろう。
◎12月3日
王子は私が入院している頃は掃除ばかりしていたらしい。掃除をしているときしか気が紛れず、そんなつらい気持ちを誰にも言えなかったそうだ。今更だけどごめんなさいと謝った。

本のタイトルをなぜ「再婚生活」にしたんだろう。そんなことを読み終わったあと考えたんだけど、彼女にとって40歳から44歳は、病気と闘った日々よりゆっくり時間をかけて夫と向きあったことのほうが大きかったのかなと思いました。

この本は単行本で読みました。今頃、感想を書いているけど読んだのは1年くらい前です。半年前に文庫本が出版されました。文庫本には単行本に書かれてない話もあるらしく、文庫本が出るまで待てばよかったと後悔しちょります。なんかタイミング悪いわ。でも、それを知ったから感想を書こうと思ったんだけど。

ちょっぴりネタバレあり本の感想


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