北川達夫「対話力入門」うそと誇張の違い
東洋経済で連載中の北川達夫さんのコラム「対話力入門」で、教育立国として知られるフィンランドでの授業が紹介されていました。
紹介されていたのは、小学校4年生の国語の授業なのですが、課題は「うそを言うことと、大げさに言うことは、どのように違うと思いますか?」というもの。
小学4年生が「うそ」と「誇張」の違いを論争するなんて、なんて楽しそうな授業。
たとえば、「6月10日生まれなのに『10月6日に生まれた』と言うのは誰が聞いても嘘だとわかるけど、バストサイズを大きめに言うのは、受けとる人によって嘘にもなるし誇張にもなります。
バストを見れば嘘か本当かわかりそうなんだけど、バストの大きさの判断基準は人によって違うので、「うそ」と「誇張」の線引きも、人によって微妙に異なります。
料理のレパートリーが3品しかない嫁のことを『うちの嫁さんはものすごい料理上手なんだ』と自慢する人がいたとします。料理のレパートリーを100品持っている妻を持つ夫から見ると「ものすごい料理上手」は大げさな表現にしか思えないだろうし、もしかしたら『こいつは嘘つきだ』と思うかもしれません。でも、料理のレパートリーが3つしかなくても、それが彼の大好物であり彼が満足していれば、彼にとって「料理上手な嫁さん」は、嘘でも誇張でもありません。
というわけで、「うそ」と「誇張」の線引きは、大人でもなかなか難しい問題です。
ただ、フィンランドの授業は、「うそ」と「誇張」の違いに正解を求めるのではなく、「自分と他者の違い」を学ぶのが目的なんだそうです。
授業ではまず「うそ」と「誇張」の具体例を挙げさせます。そして、そのうちの一つを選び、「自分だったら許せるか許せないか」考えていきます。もちろん許容範囲も人によって違うわけで、ここでもまた「自分と他者の違い」を学んでいくそうです。
日本人は、横並び意識が強い国民性を持っています。一つの目標に向かって一致団結して取り組むときはプラスに方向に働くけど、横並び意識は、人と自分に違うことを不安に思ったり、違うことで他人を妬んでしまうマイナス面もあります。
「あなたの考えは理解できない」と意見されると落ち込む人は多いと思う。だけど、「自分と他者の違い」を知れば、ひがんだりすねたりすることは減るだろうし、わかりあうために会話を大事にしていくんだろうな、と思いました。 写真は北川達夫さんの著書です。
追伸.フィンランド教育は素晴らしいところはたくさんあると思いますが、 フィンランドと日本では人口(密度)も違えば、生活環境も違いますので、 そのまま日本に持ち込んでも成功するとは思っていませんm(_ _)m。
こどもの問題はおとなの問題
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