パンドラ2飢餓列島(佐藤浩市&鈴木京香)
牛肉1キログラムを得るために必要な 《とうもろこし》は11キログラム。 これは、人間ひとりが生きられる約1週間分のカロリー。
WOWOWドラマの「パンドラII 飢餓列島」を観ました。
「パンドラII 飢餓列島」は、めちゃくちゃ面白かった「パンドラ」の第2弾。第2弾と言っても、脚本(井上由美子)と制作スタッフが同じだけで、内容は全く別の話。ただ、見終わった後の感じ方はとっても似てました。
第1弾は、ガンが完治する薬を発見する医者の話(医者は三上博)。第二弾は、通常の4倍のスピードで成長する奇跡のトウモロコを発明した研究者の話(研究者は佐藤浩市)。
ガンが完治する薬の発見は、もし本当にそんな薬ができたら大変なことになるだろうなと考えさせられたけど、トウモロコの発明はそんなに凄いことなんだろうかとあまり驚きを感じず。でも、それって自分がいかに恵まれた環境にいるかの現れでもあるんだよね。
現在、世界人口68億人中約10億人が飢餓状態です。 そして、飢餓で死んでいく人は、1日に2万5000人。
かつての日本がそうだったように、食べることが生きることの全てで、「お腹いっぱい食べる」ことが夢である人間は世の中にたくさんいるわけで、「美味しいものが食べたいなぁ」なんて思えるのはとても贅沢なことなんだよね。
人間にとって食べることは生きること。 だが、食べるだけでは生きられないのが人間です。
ドラマの中で佐藤浩市がこう語っていたんだけど、 人間とはどこまで強欲な生き物なんだろう。私も含めて。
佐藤浩市が発明したトウモロコシは完璧ではありませんでした。流通する直前に、1000人中3人が異変を起こすトウモロコシだったことがわかるんだけど、その欠陥があるトウモロコシを市場に出すか出さないかで彼は悩むわけよ。
1000人がトウモロコシを食べると977人は満たされる。でも、3人は病気になってしまう。多くの人の利益をとるなら3人は見捨てなければならない。しかし、見捨てられた人の苦しみはやがで憎しみに変わる。もし全員がトウモロコシを食べなければ1000人が飢餓で死んでしまう。どちらを選択するか、どちらの選択が正義なのか・・・。まるでサンデル教授の授業(ハーバード白熱教室)みたいだけど、これはかなり悩む。
佐藤浩市が出した結論は納得できるものでした。 ラストの演説はかなりぐっときました。
争う者たちの中に、1枚の肉を投げ入れれば、 奪い合いによって、命を落とす者がいるかもしれない。 しかし、愛し合う者たちに、1枚の肉を与えれば、 それを分け合うことで、全員が助かる道を探し出すかもしれません。 わたしは、人間はそうであると信じたい。
私も信じたい。
鈴木京香が刑事、山本耕史が新聞記者、水川あさみが秘書、余貴美子と宅麻伸が政治家。演技の上手な役者さんばかりだったのでよかったです。ただ、佐藤浩市が回を追うごとにかっこよくなるのが気になりました。三上博は最後まで研究者だったので比べてしまう。
ちょっぴりネタバレありWOWOWドラマ
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