小説「悪人」光代はストックホルム症候群?
「悪人」を読み終わって1週間。
しばらくもやもやしとったとですよ。やっともやもやが落ち着いてきたとですよ。
第四章までは、きっと読み終わったら、もっと切なか気持ちになって、もっと気持ちを引きずるだろうと思っていたのですが、読み終わると、なんでかなぁ、なんでかなぁ、なんでかなぁでいっぱい。
ネタバレしなかように感想を書くのは難しいんだけど、裕一が手をかけたときが、切なさの頂点でした。「もういいよ」と涙がぽろぽろ溢れてきたのに・・・なんでかなぁ。
金子美保の「被害者」の語りがあるからまだ救われるけど、なんだかなぁ。
私までマインドコントロールが解けた感じ。 これが「ストックホルム症候群」というやつなんでしょうか?
悪人を読みながら、いろんな「もし」について考えました。もし増尾が公園にいなければ・・・、もし佳乃が餃子を食べてなかったら・・・、でも、一番考えた「もし」は、もっと早く佑一と光代が出会っていたら・・・ということ。
人は人によって癒される。どうしようもない親の元に生まれてきたとしても、その後の出会いで人は立ち直れると私は信じてます。だから佑一も・・・。でも、でもね、「もし」事件がなかったら、ふたりはあんなに愛し合わなかったようにも思うの。事件があったからあんなに惹かれあった気がします。
なんかさ、もやもやするけど、小説は面白かったですよ。
基本的に三人称で語られる小説なんだけど、所々で被害者の家族や友人、犯人の家族や知人が一人称で自分の思いの丈を語り、それによって犯人や取り巻く人達が、悪人に見えたり善人に見えたり混乱してくるんだけど、その混乱が楽しめる作品でした。構成が上手いんだよね。人の気持ちを動かすのが上手だと思う。まさにマインドコントロール。
映画も観てみたいなぁ。 九州訛りがあんまりにもよかったので実際に聞いて耳でも楽しんでみたい。小説では、祐一のおばあちゃんと佳乃の父親が人間らしくて好きなんだけど、その役を樹木希林と柄本明が演じていると知り、ますます興味が湧いています。
「悪人」は、めいちゃんに教えてもらいました。 先が見えるのに、先が気になってしかたない小説でした。 読み終わると、また読書がしたくなるんだよね。 めいちゃん教えてくれてありがとう。
ちょっぴりネタバレあり本の感想
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