モンスターペアレントのクレーム対策と痕跡
サンケイリビング新聞社が毎週土曜日に発行しているフリーペーパーに モンスターペアレントの特集が一面に掲載されていました。
アンケート結果によると、「身近にモンスターがいる」 と答えた人は、なんと40.6%もいました。 このブログのアクセス解析を見てみても、 モンスターペアレントで検索してる人が毎日のようにいるので、 モンスターな人達に悩まされている人が多いのかもしれません。
集英社新書の「学校崩壊と理不尽クレーム」を読みました。
現役の校長先生が書いた本です。 学校側の目線で書かれた本だけど、愚痴や恨み節ではなく、 客観的に具体例や対策が書かれていて読みやすかったです。
とくにモンスターペアレントが生まれた時代背景や モンスターペアレントの養育態度(教育方針)や モンスターペアレントの家庭環境は読み応えがありました。 それも紹介したいんだけど、長くなるので、 今回は学校に残るクレームの痕跡の一部を抜粋します。
学校にはクレームをきっかけに修繕された施設があります。 学校に楽しい思い出がある人ほど、切なくなると思います。 いったい学校は誰の物なんだろう、と私は考えてしまいました。
学校に残るクレームの痕跡
★「あみのなかにゆびをいれないでください」 飼育小屋の前にある表示です。 学校に遊びに来ていた幼児がウサギに指を噛まれ、 管理不行届きを理由に訴えられ、注意書きを表示しました。
★「校庭への部外者の立ち入り禁止」 遊具で遊んでいた幼児がケガをして大騒動になり、 校庭への部外者の立ち入り禁止を徹底。 念には念をということで、校庭の至る所に 注意書きの看板が立てられるようになりました。
★校庭を囲むように植えられていた桜は切り取られました。 これは、学校の近所に住む人からの 「日当たりが悪くなる」「花びらが庭に落ちて困る」 というクレームがきっかけでした。
★不必要なほど高いネット。 これは何十年に1回あるかないかの野球ボールが外に出るのを防ぐため。
★テニスコートを囲む厚い板のフェンス。 これは「ボールを打つ音がうるさい」というクレーム対応。
★音へのクレーム対応は多くの学校が抱える共通の悩み。 民家に接した体育館では、どんなに暑くとも窓が開けられません。 少しでも風を入れようとすると、風よりも先にクレームが吹き込みます。
★プールの音も気を遣うことを求められます。 注水の音、モニターの音、子ども達の声。 楽しいはずの水泳の授業も歓声を押し殺し黙々と泳ぎます。
★運動会は音のパレードです。 競技中に流れる音楽、ピストルの音、応援、実況、歓声、どよめき。 運動会の近所迷惑は昔からです。 昔は「年に1回のこと」と大目に見てくれましたが、今はダメです。 昔は、よーい「ドン」と鳴らしていたピストル。 今は、火薬の量を減らし、よーい「ポン」と聞こえるそうです。
校舎の中にもクレームの痕跡があります。
★鍵のかかる会議室。 会議室の中には遠足の写真が貼っています。 廊下に貼ると「肖像権が侵される」とクレームを受けるからです。
クレーマーも悪いけれど、学校側も言いなりになっている気がします。 穏便に解決させたい気持ちはわからなくないけれど、 このままでは、声の大きい人ばかりが得をする「ごね得」状態です。
ごね得に振り回される一番の被害者は学校ではなく子ども達です。 大人の都合で、あれダメ、これダメ、これもダメ。 駄目なことばかり強いられる学校生活なんて可哀想です。 健康な忍耐力は、大人の勝手では育たないと思いました。
こどもの問題はおとなの問題
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